14話 襲撃
私は馬車の軋む音を聞きながら、窓の外を眺めた。冷たい風がローブを揺らし、王都を出た後の荒々しい道のりが心をざわつかせる。ルミエさんとマックスさんが一緒とはいえ、野盗の襲撃なんて予想外だ。いや、でも……どこかで感じていたのかもしれない。貴族街を通れない第二騎士団の立場、教会への道のりの長さ、そして妙に装備の整った野盗たち。私の胸の内で、何かが引っかかる。
私は杖を握り、光の鎌を手に持つ。戦場の天使と呼ばれるこの力が、今ここで仲間を守るために必要だ。馬車を覆う結界が光り、御者さんを安全に守っているのを見て、少しほっとする。ルミエさんの剣が閃き、マックスさんの声が響く中、私は一歩前に出た。野盗たちの目が私を捉えるけど、怖くはない。いや、少しドキドキするかな。私は少し微笑んだ。
教会への道はまだ遠い。貴族と癒着する神官たちの影、ヒーラーを独占する現状……私はそれを変えたい。私の治癒魔法とこの鎌で、仲間と共に切り開くしかない。さて、どんな試練が待っているんだろう? 私は目を細め、風を感じながら、心を決めた。
本編
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