普段感想は、作者様が読める形で応援コメントやDMなどで送っているのですが、どうしても書き留めておきたい。なんなら、もっと読まれてほしいと思って近況ノートを書くことにしました。
現在読み専なので、近況ノートなんて書いたことなかったんですけどねw
「自力で帰還した錬金術師の爛れた日常」ちょす氏
この作品は、連載途中で見つけてそれから追いかけていたのですが、途中で最後までまとめて読みたいって思うほどハマってしまい、一旦読み切るのをストップしていました。
味わって隅々まで堪能したい、でも終わってしまうことが辛い。そんな大好きな作品です。
序盤から波乱万丈の人生を送る主人公・伊崎湊翔に、1話目から目が離せなくなるくらい強烈に惹きつけられてしまいまして。
かなり辛い人生を歩み、全てに絶望し、死にたいとすら思っていた伊崎が、ある日突然異世界に転移してしまって錬金術師の師匠に拾われ、共に偉大な錬金術師として研鑽し、異世界で最強になり。それでも元の世界に戻り、大切な家族と愛した女性に会いたい、救いたいと孤独に研究を続けて自力で帰還。
そこから貧乏で底辺だった家族を救い、愛した女性の若かりし頃を救い。
普通そこで大団円ってなるじゃん?
けど、帰還した時点で伊崎は、何百年も生きていたため記憶が曖昧になっている部分がある。
異世界で最強だったけれど、魔力もガクッと落ちて、無双はできるけど思ったより弱体化している。
魔力があるってだけで大きなアドバンテージを持ってはいるけれど、過去の最強な自分を取り戻さねば守りたいものを守れないとまずは奮闘していく。
しかも忘れていたことや転移する前は知らなかったことも出てきて、意外と闇が深い……?と謎要素も出てきます。
伊崎の語りが、曖昧な記憶故に段々信用できなくなってしまう。これは危ないんでは?とヒヤヒヤしてきます。
最愛の人は過去に戻り救った影響で、愛し合ったことも、壮絶な人生を共に歩んだこともなかったことになり、伊崎は切ない思いを抱えながらも身を引いてしまう。
更に救うために出来た関わりのせいで、穏やかに過ごすつもりが急に身の回りの状況が加速していく。
主人公は魔術師で錬金術師で戦えて、頭も良くなっているし体も最適化しているチートなのに、ままならない。
頭はとても冷静なのですが、思い出せないことや思い通りにいかないことも多くてすぐに思い描いた無双とはいかない。
また、日本に居たのは20代までで、そこから数百年はずっと異世界にいたため倫理観が違っていて、暴力や殺人に対してためらいがない。性的にも素直に女に溺れるクズタイプ。
結構ダークな世界でも平気で生きているので、そんな自分に家族や最愛の人を関わらせたくないと一定の距離を保っちゃうんですよ。
家族は大好きだし、全員仲が良いので付き合いをなくす事はないですが、火の粉がかからないように最新の注意を払って一人暮らし。
ずっと戻りたいと思っていた世界に戻って来たのに切なすぎないか?!
その後も出会った人たちや、過去に関係のあった人達と違う形で再会し、救い、優しい人達との関わりの中で忘れていた感情を取り戻したり、異世界での過去を思い出したり。
時々休みながらも、自分の守りたいもののために沢山考え、ずっと積み上げて来たものを武器に行動していく姿に、胸を打たれます。
困難ばかりがあるように見えますが、主人公の頭の良さと長年生きてきた経験、多くの言葉と信念を持っているが故に一切ぶれない。
芯があり、譲れないものが明確にあるので、大丈夫かな?と少し不安になっても着いていきたい、自分が支えたいと思える真の王、リーダーなんです。有言実行ですしね。
それに、自分の円の中(懐の中)に入れたものは、全て守るというめっちゃ男前。
多くの女性と関係を持つけれど、一人ひとりにきちんと気持ちを持って思いやる。
こんなことできる男性、この世におる?!とびっくりしましたが、沢山関係を持って爛れててもこの主人公なら許しちゃう女性多いんだろうなーって納得しかない。
ハーレム系は苦手な私が、納得して読めるという奇跡!(一部はちょっと……って思うけど許容範囲内)
主人公自体、自分がクズであることを自覚し、隠さず公言しているので周囲も「うわー、クズだなーw」と思いながらもある程度は許容してますしね。
クズでやりたい放題の我儘に見えるのですが、その裏で冷静に計算して我儘のフリをしている部分もある。
様々な大物と対峙する時も、相手がどこまで許容できて、どこまでで線を越えてしまうかをきっちりと見極めている。
だから相手はそれならって受け入れてくれて、関わるうちに金や権力だけじゃない主人公の魅力に気付いていく。
クズのふりした人たらしでもあるんです。
レスバも強い、対話も冷静にできる。暴力も一流。
主人公の主観では普通の外見と言っていますが、成長していくに従って実はイケメンだとゆっくり開示されていく。
善悪両面を併せ持ち、誠実だけれど冷酷で、全てにおいて有能で最高。
それでも、本当に愛している人とは距離を置いてるし、自分の本性を曝け出したりしたくないから家族とも距離を置いてるって切なすぎる!(2回目)
自分を含めず守りたいものを大切にする。自分は長く生きたから、幸せな人を外から見ているだけで良いのだと。
心の底からの本心を、周囲に集まって来た慕ってくれる人々には知られないようにしながら、抱え込んでいる。
関わりが長くなっていく中で多くの大人たちがそれに気付いて、一人で抱え込むな頼れと言ってくれる姿に涙が出ました。
だって主人公こそ幸せになって欲しいのに、自分を勘定に入れてくれないんだもん。
みんな主人公のおかげで今があるから、お返しがしたい支えたいって温かな気持ちで寄ってくてくれるのに。(お金関連に目が眩みがちな人もいますがw)
根底にある熱い思い、「自分の魂を燃やすこと」に共鳴した人たちが様々な形で増えていく。
最終盤では、主人公が積み上げてきた全てが、命を捨ててまで助けたいと願う主人公を死なせないために集約していく様は圧巻でした。
多くの伏線もきちんと回収し、全ての憂いが晴れていく中、最後に主人公に訪れる幸せに号泣が止まりません。これを書いている今も思い出し泣きをするほどです。
どうか最後まで、主人公や全てのキャラの結末を見届けて欲しいです。
また、作中でキャラクターたちを通して、作者様の熱い言葉と思いを受け取ることが多々ありました。
沙季ちゃんを助け別れる時、美智の過去の言葉、異世界で培った信念、多くの仲間たちの言葉など、本当に多岐に渡ります。
私自身とても納得したし、救われた気がしました。
辛い過去や経験で苦しんでいる私ですが、それでも前を向こうと思える金言の数々をいただきました。
ストーリーもキャラクターも世界観もすごいのに、金言まで揃えちゃうなんて!
唯一無二の作品だと思います。
今苦しんでいる人、辛い人に、刺さる言葉がどこかにあると思います。
結構残酷だし、人を選ぶところもあるかもしれませんが、お願いだから誰か一人でも良いから読んで、作者様の言葉が救いになってほしい。
作中で沢山の人が救われ、主人公も救われたように、現実の誰か一人にでも届いて欲しい言葉の数々がこの作品には待っています。
最後の最後、作者様の後書きにも主人公からの最後の挨拶にも、そんな熱い言葉が待っています。
明日から前を向けるように、この作品をお勧めします。
誰かに届きますように。
最後に、この作品を書き上げ、この世に出してくださった作者のちょす氏に感謝と敬意を贈ります。
本当に出会わせてくださってありがとうございました。