XでAIイラストが燃え上がっております。
きっかけは、ある小説家さんが(ライトノベル? ウェブ系?)、『AIイラストの下書きをイラストレーターさんに清書してもらう、ウンヌン』とコメントして燃え上がりました。
燎原の火は燃え広がり……天まで達した!
蒼天すでに死す!
黄天まさに立つべし!
――というナレーションが若本規夫さんの声で入ってしまうレベルで燃え上がっております。
このポスト主さんは、『自分の小説のキャラクターだけど、外見を設定してないので、イラストレーターに伝えづらい』ということもあってAIイラストで発注をかけたみたいです。
ポスト主さんは商業出版の経験もあるみたいだけど、自分でも出してるみたいです(アマゾンとか、文フリとかかな?)。
まあ、その……ツッコミどころ満載なわけですが……。
まず、商業出版の場合は、出版社から『年齢、性別、種族(人、エルフ、ドワーフ)、髪型や色、瞳の色』などの設定を教えて下さいと依頼が来ます。
冒険物の場合は、装備品(例:大盾装備、バスターソード)、ジョブ(例:剣士、魔法使い)などの設定も教えます。
エクセルなどのファイルを送っている出版社もありますし、メールで『この項目について送ってください』と伝えてくる出版社もあります。
なので、この出版社からの質問に答えながら、自分の中で曖昧だったキャラクターのビジュアルイメージが整理されることがありました。
また、決まってない時は『指定なし』と解答すればOKです。
それから参考画像として、俳優さんやマンガのキャラの写真をネットで拾ってきて資料に添付したりすることもあります。
(著作権的には不味いのかもしれませんが、内部資料なのでこっそり……)
ちなみにコミカライズ蛮族転生の主人公ガイアは米ドラマ『ゲームオブスローンズ』のジョン・スノー(キット・ハリントン)でした。
『イノセントな雰囲気と主人公らしい存在感』とコメントを添えています。
あっと脱線しました。
それで、AIイラストをライトノベル(商業)の表紙に使えるかというと、難しいッス!
仮に権利関係、法律的に問題ないとしても、現在のAIイラストのクオリティでは、ライトノベルの表紙は無理です。
今年の初め頃、『左遷されたオッサン』の書籍化打ち合わせを担当編集さんとしたんですよ。
その時に、表紙イラストについてかなり時間を掛けて打ち合わせました。
私 『キャラクターが大きく描かれた表紙が好き』
担 『ちょっと前の流行ですね』
私 『えっ!? そうなんですか!?』
担 『最近はですね――』
という会話があって、担当編集さんから教えてもらったのですが、『背景のかき込みも行って、世界観を読者にビジュアルで伝える』ことが結構大事らしいです。
例えば異世界グルメ物ならお料理や調理道具を細々背景に描く。
イラストレーターさんの稼働は増えて大変だと思いますが、確かに最近発売される書籍は背景で世界観を伝えているのが多い印象でした。
AIイラストですと、プロンプト(指示する文章)を打ち込むのですが、背景まで細かく指定するのは難しいのかなと。
『かわいい笑顔の女の子のイラストを出力してください。背景は中世ヨーロッパのような異世界。女の子の年齢は十三歳くらい。日本のマンガのような雰囲気のイラスト』
私が指定するプロンプトは、これくらいの分量です。
このくらいのプロンプトだと、商業の表紙で使えるようなイラストは出力されません。
Xでウェブ小説の宣伝に使うくらいなら良いですが。
それから再現性ですね。
これはプロンプトをどう入力するかにもよるのでしょうが、一つの書籍の中で表紙+イラスト数点が必要になります。
そこで主人公やヒロインなどのキャラクターが同じ品質で出力出来ないと使い物にならないのです。
毎回、主人公の顔が違ったら不味いわけです。
この辺りのコントロールが難しいのではないかと。
(ひょっとしたら、上手にプロンプトを入力して出来るのかもしれませんが……)
そんなわけで、AIイラストは商業出版では、まだちょっと難しいと思っています。
ではでは!