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夏蜜柑

  • @mtjapngjtgawj
  • 2024年8月26日に登録
  • SF
misora_men_0414
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  • 8月22日

    いろいろ

    眉を下げる青年は、余りにも年相応に見えた。 ここまで考えてなんだが、やはり私はこの時、人間観察をしてしまったと言う事実に打ちひしがれていた。 「いえ、、、大丈夫です。」 やっと口に出した言葉は余りにも小さくて、弱かった。 「私は桂秋月。ここで塾をしてる。君は?」 桂と言うと、藩主様の分家か。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「本当にここまでで良いんですか、、、?」 「すまないね。これ以上は私も思い出したくないもので。」 ランタンの光が当たりを照らす中、向かい合った2人は何やら深刻な話をしているようだった。 歳をとった老人と、新聞記者だろうか?若い青年。老人がポツポツと昔話をして、記者の男がそれをメモしている。そんな構図だ。 しかし何を隠そうこの老人が北條本人である。すっかり歳をとり、かつての幼さはもはや欠片も感じない。 記者の男に別れを告げ、部屋の奥に引っ込んで行った。 部屋の中で北條は昔のことを思い出していた。 「俺は君になりたかった。」 あれは、夏も終わりかけ、残暑が身を引く季節だった。サングリアを飲みながら君は僕にそんなことを言ったね。 君が何を思ってそう言ったかなんて俺には分からなかったけど。あの時止められてたらって、ずっと後悔してるんだ。 ただ、そんな懺悔を。ずっと。ずっと。 【神様なんて居ない。】 分かっていた。頭では理解していた。でも、それでも、どうしても何かに縋りたくて。 「君も同罪なんだから」 笑う彼が頭から離れない。俺は違うと、誰か言って___ そんな彼を置いて。夜は更けていくのだった。 【了】