こう、テーマってあるじゃないですか。
当たり前ですけど、伝えたい事。
魔術士オーフェン2部なら「絶望とは何か」がテーマでしたし。
そういうテーマ以外にも、入れる小話ってあると思うんですよね。
ないと読んでてきつさ感じちゃうし、読者自体が感じるし筆者自体も気分が滅入るし。
だから小話。挿し絵もつけて。映っているのは、ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ、水鏡冬華、ガートルード=キャボット。
プレビュー↓
山田一郎は拳を震わせ、背後の百のスーツ異世界転生者を振り返った。
「諸君、ツッコミは後だ! まずは魔王ミハエルを討つ!」
「「「おう!」」」
百の名札が同時に翻り、朝靄が割れる。だが、一歩踏み出す前にミハエルが片手を上げた。
「待て」
ミハエルが止める。
「何だ!」
「昼休みだ、お前ら社畜異世界転生勇者なんだろ?」
山田の足が止まる。背後でユーナが
「あはは」
と笑い、ガートルードが
「お弁当、配りますか?」
と小さく手を上げた。
「あ、弁当と言えば、弁当屋さんわたし嫌いなんだよね」
「どうしてよ?」
ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒがそう気だるそうにいい、水鏡冬華が顔を彼に向けてなぜかを聞く。
ガートルード=キャボットも弁当を手に不思議そうな顔をしている。
「いやー、わたし弁当屋利用してさあ、唐揚げ弁当をお昼休みには食べられるように、午前11時には注文したんだけど、1時間半待っても来ないのね? あったまり弁当。チェーン店の。さすがに店にクレームいれたんだけどさあ。そしたらさあ、
『うちは大口優先なので普通の客の注文は後回しにしてるんですよー。あ、弁当は午前11時30分にはできてますよ~。でもお届けに上がるのは午後1時半くらいになりますね~~、まあうちは大口優先なんで。午後1時半まで待っていてくださいー』
午後1時半てお前、昼休み終わってんじゃん!!
大口優先ならチラシにそう書いとけよ!!!
それならわたしも最初から別の店に行くし!
お前これなんだ!
弁当1個からでも笑顔で配達承ります! どうぞ気楽にお弁当1個からでもご注文くださいって!
大口優先なんでってチラシに書いておいてくれよ!!! 最初っからそれならそれで、別に宣言してるなら怒りはしないから!」
ミハエルの魂の叫びを聞いた水鏡冬華は、
「『権力者』であろうと『一人の客』であろうと、『誠実さ』という『人の道』から外れた行為は、『霊的な軋轢(あつれき)』を生み、やがて『呪い』となるわ。
つまり、単純に言うと、お弁当おいしかろうが、口コミからの売り上げ低迷。
わたしならもっとガンガンに言ってるわね。そんなことされたら。どおりで最近近くのあったまり弁当の店潰れてると思ったわよ」
水鏡冬華の意外な一面が垣間見える! 普段は穏やかだが、『倫理に反する行為』に対してはミハエル以上に毅然とした態度を取る。
ガートルード=キャボットも応える。
「それは……大変お気の毒でしたね、ミハエル様。そのような不誠実な店は、二度と利用すべきではありませんね……。情報を提供していただければ、私の方で地域の優良な業者をリストアップしますよ?」
「お気遣いありがと。でもいいのよ、代わりのお店も2,3マークしてるし。その大口事件起こったの1年ほど前だから、今更……」
とミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒは答える。
