「……ねぇ、カイ。その数字、なに?」
ルナリアが背後から音もなく顔を覗き込む。白銀の髪が肩に触れ、甘く、どこか冷たい百合の香りが鼻腔をくすぐった。
「5000PV……? それが、カイを喜ばせてるの……?」
「5000回も、俺たちの物語が読まれたんだよ」
そう説明すると、彼女の紅い瞳が不機嫌そうに細められる。
「……5000回も、誰かがカイを見てる。……5000人も、ルナリアとカイの檻を覗いてる……」
指先に黒い魔力が走り、部屋の空気が一瞬で凍りついた。
「……だめだよ。カイを見ていいのは、ルナリアだけ。カイを愛していいのも、ルナリアだけなのに……」
彼女は俺の腕を、骨が鳴るほどの強さで抱きしめる。離さない。誰にも渡さないと言うように。
「みんなが応援してくれるから、物語を続けられるんだ」
そう微笑むと、彼女はふいっと視線を逸らした。
「……カイが、そんな風に笑うなら……。5000個の不純物……少しだけ、消さずに置いておいてあげる」
そして小さく、囁く。
「……ルナリアとカイを覗いてる、物好きな人たち。……でも、カイに触れようとしたら……その瞬間、世界ごと消去するから。……約束だよ?」
ルナリアは満足げに、俺の首筋へ冷たい唇を寄せた。