三月、余白の光
風はまだ冷たいのに
光だけが先にほどけていく
駅のホームで
誰かの背中が遠ざかる
その音を
春はやさしく包もうとする
終わりは
いつも少しだけ
白い
言葉にできなかった約束が
ポケットの奥で
小さく揺れている
それでも
芽吹きは
黙って始まる
土の下で
まだ見えない根が
静かに伸びている
急がなくていい
咲く日を決めなくていい
三月は
間(あいだ)の月
手放すことと
抱きしめることの
ちょうど真ん中で
わたしたちは
もう一度
息を整える
光は
追い越さない
ただ
隣に立っている
明日から三月ですね。
二月は短いぶん、気持ちまで急ぎ足になっていた気がします。
書けた日もあれば、立ち止まった日もありました。
それでも、ページはちゃんと重なっていくんですね。
三月は、別れと始まりが同時にある月。
終わるものを無理に引き止めず、
始まるものを大げさに飾らず、
ただ静かに、物語を書いていけたらと思います。
読んでくださる方がいること。
それだけで、ちゃんと春に向かえている気がします。