1月25日から始まったアイリスの旅が終わりを告げました。
本作品はずいぶんと自分の中で思い入れがあり、あーだこーだ苦悩して書いた作品の1つです。
「死」とは、忌むべき絶望なのか?
それとも、長すぎる旅路の果てに用意された、優しき休息なのか?
本作『月光に触れる剣』は、
そんな一つの問いから始まった物語です。
舞台となる小国のエヴァリアは、傷も老いも癒える、永遠の凪に包まれた国です。
誰もが永遠を夢見ている、という歌詞がありますが、
私は、その「永遠という名」に甘えた「停滞」こそが、本当の地獄なのではないかと考えました。
盲目の剣士アイリスは、自らの剣が触れた「不在の冷たさ」に導かれ、外の世界へと旅立ちました。
彼女が出会った死とは?
死を救いとして乞うエンド・ロアの人々
命を金貨に換えるフェルゼンの狂騒
自らを果実として次代へ還元するカナンリスの循環
そして不変の秩序に縋ったゼニトの防壁でした。
彼女は旅を通じて、血を流し、飢え、痛みに耐えることで、初めて「自分が生きている」という強烈な実感を得るようになります。
痛みとは、私たちが正しく生きているという何よりの証明なのではないでしょうか?
「死とは無ではなく、誰かの記憶の中に場所を移すこと」。
作中で一人の司祭が語ったこの言葉は、本作の核でもあります。
命がいつか終わりを迎えるからこそ、私たちは今この一瞬を愛おしみ、誰かに何かを託そうと懸命に生きることができる。
終わりとは、決して物語を白紙にする虚無ではなく
物語を完成させるための「句読点」に他なならないのではないか。
アイリスが最後に故郷へもたらしたものは、絶望ではなく「明日へと繋がる変化」でした。
死生観を語るのはとても難しいです。
なぜならその理由や答えは一人一人によって生きてきた道が違うからであると考えます。
読者の皆様の現実もまた、常に変化し、いつか必ず終わりを迎える不確かなものです。それは当然私も同じです。
けれど、だからこそ、皆様の刻む一分一秒の鼓動は、永遠よりも遥かに美しく、尊い光を放っているはず!です。
この銀髪の少女の旅が、皆様が自らの「限りある時間」を愛するための、ささやかな月光となれば幸いです。
最後まで見届けていただき、誠にありがとうございました。
――さあ、静かな夜明けを歩き出しましょう。
引き続き水色蛍の作品をよろしくお願いします!!
●月光に触れる剣
https://kakuyomu.jp/my/works/822139843246868327