ノエルの三人称一元視点じゃ十分に詳しい説明ができない! ということで不定期でやらせていただこうと思っている戦闘シーン解説。第2回目は「第2話 平和的解決①」の決着シーンを振り返ります。
青ざめた顔の小男はその場に崩れ落ちるかに思われたが、手に隠し持った何かをアリスの顔に投げつけてきた。砂だ。
目潰しに怯んだアリスが思わず顔を覆って後ろを向いた一瞬。その隙を逃さず小男が背後から襲いかかる。
だが、後ろを向いたように見えたアリスは、そのまま一回転しつつ片腕を伸ばした。彼女の拳の底面は小男の意識の完全に外から、頬に叩きつけられた。
数本の歯を吹き飛ばしながら男が失神したとき、やっとノエルにもわかった。
――怯んだ振りをして相手の隙を誘ったのか。
身体を一回転させて遠心力で裏拳もしくは鉄槌(拳の底面)を打ち込むバックハンドブロー。
現実の格闘技の試合ではもちろん砂かけ目潰しなど起こりえませんし、怯んだ振りをして相手の攻撃を誘いカウンターというのもあまり見る機会はないでしょう。
しかし元々不意を突く性質の強いバックハンドブローという技を、自分から隙を見せた状況で使うことでより効果的な一撃にした例はいくつかあります。
参考までに有名な「空振りからのバックハンドブローでの逆転勝利」の例を2件紹介します。
1つ目は軽量級キックボクサーの顔としての地位を確立する以前の武尊選手が大雅選手と対戦した一戦。
3R開始後、左の前蹴りを空振りしたと見せかけて……というシーン。
おそらく前蹴りを当てる気は最初からなくて、左足を右斜め前に踏み込むバックハンドブローの初動を隠すための布石だったと思われます。
(以下の動画の10分10秒辺りからご覧になれます)
https://www.youtube.com/watch?v=uS-xgIHUajw
2つ目はRIZIN(日本のMMAで現在最も大きな舞台)とBellator(当時世界で2番目に強かったMMA団体)の二冠王にもなった堀口恭司選手とセルジオ・ペティスとの一戦。
終始有利に試合を進めていた堀口選手。組み合った状態からの超至近距離のハイキックさえ見事にかわして見せて……からの衝撃の結末。
(以下の動画の22分00秒辺りからご覧になれます)
https://www.youtube.com/watch?v=V1G0iscUv5A
起死回生の一撃になりえるバックハンドブロー。いざというとき使えるようにしておきたいですね(いざというときってなんだよ)。ちなみにボクシングでは反則となります。
なんだか劇中のアクションシーンの解説というよりはただの動画紹介になってしまいましたが、本編共々次回もよろしくお願いいたします。