本日、「異世界ハーフの仕立て士見習いですが、なぜか若君の胃袋を掴んだようです」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889459314第61話 混乱 を投稿しました。
陛下、ぐったりしています。
切りのいいところと考えたら短くなってしまいました。すみません。
余談ですが、ゲシュティのカメラはチェキみたいな、インスタントカメラです。
今日のSSは「第60話買い物」の若君視点です。
ご興味のある方はどうぞ。
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デートだ!
今度こそ間違いなくデートだ。
差し出した俺の手を、ためらいなく握り返してくれるナナの可愛さに震えが走る。
ああ、長かった。ここまで本当に長かった。
「こうしてると、王都の市場を歩いてる時を思い出すね」
そう言って笑いかけると、赤くなってうつむくのがたまらなくかわいい。
「そうですね」
「俺にとっては、あれ、デートだったんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。ナナはまったく気づいてないどころか、色々ポキポキへし折ってくれてたけど」
テイバーだったほうの俺は、あまりにもナナが平然としてるので当然やきもきした。
ウィルの肩から人としての目線を楽しみはしたが、ウィル(俺)、もっと頑張れよって気分だったのだ。
二つの視点で自分を思い出すと、不甲斐なくて情けなくなる。
「えーっと。……ごめんなさい」
「今日は、間違いなくデートだよね?」
「……はい」
はいだって。やった。
「じゃあ、ナナは俺の彼女だよね?」
「えっと……」
「そこで迷う?」
「だって……」
――やっぱりそうなるよな。
浮わついた気分が、少しだけ冷静になる。
このまま日本に住むなら、一緒にいることへの障害なんてないも同然だ。
問題は多いが、それでも準備を重ねてきた分、クリアできる目途はある。
だがナナはゲシュティで上級仕立て士になることを選んでいるのだ。
ふとチェイス様の顔が思い浮かぶ。
試合が終わって打ち上げをしていた時だっただろうか。
何のきっかけだったか、ナナの話が出ていた。
その頃には、陛下が王子のどちらかを領主に、どちらかをナナの婿にと考えてると言う噂が聞こえ始めていた。俺の耳に入らないようにしていたらしいが、わからないはずがない。
表面的にはブライス様が優勢だった。
二人きりでいるところを見たという目撃情報も多かったのだ。
それでもたまたま、彼はナナを妹と同じに見ていることを知ったから冷静でいられた。
だがチェイス様は……。
なんか違うのだ。
上手く言えないが、もし、もしも出会う順番が逆だったら……?
いや、そんなことは考えるだけ無駄だ。
ナナが選んだのは俺なんだから。
「ナナ、聞いて。俺が一番大切なのは君だけなんだ。やっと、やっと手に入れたのに、二度と手放すつもりなんてないんだから覚悟してね」
そうだ。絶対に彼女を手放したりしない。
「覚悟って……」
「俺を信じて。ちゃんと守るから」
必ず、ナナも納得できる形で一緒に生きられる道を見つける。
でなきゃ、ナナは陰で泣いたとしても、表には平気な顔を見せて身を引いてしまうだろう。
「……はい」
それでも不安そうなナナの頭をポンポンとたたいた。
ごめんな。もう少しだけ待って。
絶対、君が頼れる男になるから。
「ま、今は買い物を楽しもうか」