• 恋愛
  • 異世界ファンタジー

異世界ハーフ~更新と、前話の裏話

本日、「異世界ハーフの仕立て士見習いですが、なぜか若君の胃袋を掴んだようです」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889459314
第54話 サロン を投稿しました。


さて前回より舞台が日本へ移りました。
ということで(?)、閑話としてあげている「うちの若君」の代わり的裏話を毎回ちょこちょこっと入れて行こうかなと思います。

53話まで読んでいて、かつ若君視点にご興味のある方のみどうぞ。
















 蛇口をひねり、冷たい水を浴びる。
 ナナの祖母からシャワーの使い方は習ったが、今は頭を冷やしたかった。

 目が覚めると、自分がどこにいるのかさっぱりわからなかった。というより、自分が何者なのか、何が起こってここにいるのかが全く分からなかったのだ。
 あたりに注意を払いながらゆっくり起き上がる。
 体に痛みはなかった。
 小さいが、清潔で整えられた部屋だ。
 見たこともない調度品の中に、自分のマントとコートが丁寧にたたんで置いてある。

 そっと部屋を出てみると、むせかえるような暑さで驚いた。
 声が聞こえる。複数の女の声だ。

 身を隠しながら、扉のガラス部分から中をのぞくと、若い女が二人と年配の女が一人いた。三人とも見たことがない服装だ。――その中の一人が、突然上衣を脱がされた。
 その女の肌に目が釘付けになり、胸が痛いくらいに早鐘を打つ。
 透けるような白い肌だ。だが美しいその肌には似つかわしくない、たくさんの傷跡があった。まだ癒えたばかりの赤い傷や、白く見える古い傷が。

「ナナ……」

 自分の唇からこぼれた声に、一気に記憶がよみがえる。
 ナナが俺の盾になった。ナナが、目の前で血に染まっていく。
 なんてことを……。


 俺に気づいたらしい年配の女――ナナの祖母に促され、そっとドアを開けると、まっさきにナナは俺の名を呼んだ。だが、俺を直接見ないよう、視線を少しそらしている。


 嫌われている。瞬間的にそう思った。当たり前だ。
 なのになぜ君は俺の盾になった?
 なぜ何もなかったように優しくする?


 レシュールにつけられた傷など一つもない己の体を見る。
 俺の代わりにナナが傷ついた。
 俺の代わりにナナが血を流した。
「くそっ。何やってんだ、俺」

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する