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◯無限の可能性

 僕らには、無限の可能性がある。

 この世の中に、不可能なことなんてない。

 明るく、前向きで、素敵な言葉である。

 一見すると。

 最近、とみに思うのだけど。

 むしろ、そうやって、自分は何にだってなれる、何だって出来ると。

 言い聞かせるほどに、思いこむほどに、苦しくなる。

 だって、本心では、ちゃんと分かっているから。

 無理なものは、無理だって。

 むしろ、世間一般で悪とされる、あきらめの精神。

 それこそが、みんなに幸福をもたらす。

 僕はあれも出来ない、これも出来ない。

 一見すると、何てネガティブだろうと、嘆かわしくなる。

 けど、全く取り柄のない人間なんて存在しないから。

 あれも出来ない、これも出来ない。

 でも、それは出来る、と。

 ちゃんと、自分の道を見つけることが出来る。

 昔、ハマっていた漫画、『ドラゴン桜』にて、桜木先生がこう言っていた。

『受験勉強は有限だ』と。

 それは、人生も同じこと。

 無限には続かない、有限である。

 それを嘆く人もいるだろう。

 でも、有限だからこそ、面白い。

 もし、無限だったら、それこそ、誰でも何でも出来るかもしれない。

 けど、そんな世界は、きっと退屈だ。

 だって、ゲームでも何でも、ルールがあるから面白い。

 何でもありだと、つまらない。

 有限で、制限があるからこそ、工夫、戦略が生まれる。

 人は確かな戦略に則って動く時、1番メンタルが安定していると思う。

 例え、苦境に立たされることになっても。

 ちゃんと、自己肯定が出来るから、大きく崩れることはない。

 そう、ちゃんと地に足をつけて、現実を見る。

 いつまでも、無限の夢、幻想の世界で生きるのは、厳しい。

 僕ら作家くんは、そんな幻想の世界に浸りがちだけど。

 歳を重ねて、ちゃんと現実味を帯びた作品を書けるようになる。

 だから、何事もあきらめない精神の、夢見くんちゃんたちも、きっと大丈夫。

 自己否定はするべきじゃないけど、無限の可能性は今すぐ否定した方が良い。



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