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◯本当に良いものは……

人がまず美味しさを感じるのは、しょっぱさらしい。

それは納得だ。

現代人が美味を感じやすいのは、正に塩分過多の食品ばかりだから。

逆に、素材そのものの甘味、旨味というのは、なかなか伝わりづらい。

けれども、分かる人はちゃんと分かっているし、そちらの方が断然、健全だ。

それは創作物も同じかもしれない。

塩分過多の食品みたいに、ニーズを取り入れまくりの、分かりやすく濃い味な作品は爆伸びする。

カクヨムで言うと、☆5,000、☆10,000とか、それ以上に行く作品たち。

もちろん、読者のニーズを掴むのは容易いことではない。

ましてや、ニーズを掴み盛り込んだからと言って、人気が出る訳でもない。

だから、カクヨムで☆を数千、数万と獲得している作者は、やはり尊敬に値する。

しかし、塩分や添加物が過多の食生活を続けると、健康を害す。

それは、創作物にも通じるのではないか。

人の欲望は天井知らず。

普通に考えて、数万、数十万も作品がある中でも、数十、数百でも☆を獲得できれば十分にすごい。

もちろん、☆を数千、数万と獲得した当初は、作者も歓喜するだろう。

けど、次はもっと上にと、欲望に駆られる。

だから、少しでも☆が落ち込むと、へこむ。

あるいは、さらに上に行けたとしても。

それは、さらなる不幸への螺旋階段。

昇って、昇って、昇りきった先で、まっ逆さまに落ちたら。

あまりの高さに、粉々に砕け散ってしまうだろう。

塩分過多の食事と同じく、ポイント過多の作品は作者を蝕む。

それは読者も同じかもしれない。

もう濃いめの味付けみたいな作品しか読めなくなって。

最初は良くても、だんだんと満足度が薄れて、読書が苦痛になるかもしれない。

それはお互いにとって、不幸だ。

一方で、ポイントだけが全てじゃないと悟っている賢い作者、読者は、健全に創作物と向き合える。

毎日更新の恐怖に怯えることなく、ゆったりしたリズムの中で、執筆し、読書する。

どう考えても、後者の方が健康で健全だ。

何より、幸福度が高い。

彼らは知っている。

創作物はあくまでも、人生の一部分に過ぎないと。

だから、それによって、己の身を滅ぼすことにはならない。

塩分過多みたいな作品のポイントアゲアゲフィーバーに乗っかってばかりいると。

気付けば、大事なモノを失っているかもしれない。

結局は、常に思考を回す者が物事の真理に気が付く。

そのためには、あえてフィーバーから離れて、客観的に物事を見つめる。

ひねぼっちなオタクの君たちは、そういうの得意だろう?


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