• ラブコメ
  • 現代ファンタジー

『やわチャラ』 第4話 月明かりの公園ベンチ 試し読み

 どんなにモヤモヤした気持ちがあっても、柔道と向き合っていればスッキリとする。

 今までは、ずっとそうだった、はずなのに……

「あっ!?」

 グキッ、と手首を捻ってしまう。

「おい、大丈夫か、明石!?」

 スポーツにケガは付きもの。

 今までも、何度かケガは経験している。

 でも今回は、今までとは違う。

 明らかに……

「……集中力を欠いて、どうする」

 しっかりと、見抜かれていた。

「その上、ケガをするなんて」

「……すみません」

「もう良い。お前はしばらく、部活を休め」

「いえ、見学とか、他のお手伝いくらいなら……」

「やる気のない奴がいても、邪魔なだけだ」

 ズキン、と胸が痛む。

「……はい、失礼します」



      ◇



 トボトボ、と帰り道を1人で歩いていた。

 1人の帰り道なんて、慣れっこのはずなのに……

 どうして、こんなに悔しくて、寂しくて、悲しいんだろうか?

 ああ、そうだ。

 あたしの唯一の取り柄である柔道で、ポカをやって否定をされたから……

 気付けば、薄暗い夜道で光っている、コンビニが目に入った。

 そして――

「あーかしちゃん」

 笑顔で手を振る、彼がいた。

「あれ? ていうか、何か今日は早くね? 良かった~、オレも早めに待ち伏せ……いや、待機をしていて」

「……真神くん」


コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する