どんなにモヤモヤした気持ちがあっても、柔道と向き合っていればスッキリとする。
今までは、ずっとそうだった、はずなのに……
「あっ!?」
グキッ、と手首を捻ってしまう。
「おい、大丈夫か、明石!?」
スポーツにケガは付きもの。
今までも、何度かケガは経験している。
でも今回は、今までとは違う。
明らかに……
「……集中力を欠いて、どうする」
しっかりと、見抜かれていた。
「その上、ケガをするなんて」
「……すみません」
「もう良い。お前はしばらく、部活を休め」
「いえ、見学とか、他のお手伝いくらいなら……」
「やる気のない奴がいても、邪魔なだけだ」
ズキン、と胸が痛む。
「……はい、失礼します」
◇
トボトボ、と帰り道を1人で歩いていた。
1人の帰り道なんて、慣れっこのはずなのに……
どうして、こんなに悔しくて、寂しくて、悲しいんだろうか?
ああ、そうだ。
あたしの唯一の取り柄である柔道で、ポカをやって否定をされたから……
気付けば、薄暗い夜道で光っている、コンビニが目に入った。
そして――
「あーかしちゃん」
笑顔で手を振る、彼がいた。
「あれ? ていうか、何か今日は早くね? 良かった~、オレも早めに待ち伏せ……いや、待機をしていて」
「……真神くん」