AIが導入されてしばらく経った。
周りの若い人たちは、もう当たり前のように使っている。
「すごく仕事が楽になりました」
「もうAIなしは考えられません」
そんな声も聞こえてくる。
私はというと、毎日AIと戦っている。
疲労もストレスもMAXだ。
今日は、ついにAIと喧嘩になった。
企画書を作っていて気付いたのだ。
「さっきと言ってること違わない?」
昨日言っていたことと今日言っていることが違う。
いや、数十分前と言っていることも違う。
私は矛盾点を一つずつ説明した。
するとAIはしばらく考えたあと、突然こうなった。
データが消えた。
今まで作っていた内容も消えた。
話し合っていた内容も消えた。
全部リセット。
「え?」
私は固まった。
AIは何事もなかったように言う。
「最初からご説明ください」
無理です。
今まで何時間もかけて説明しました。
もう一度やれと言うのですか。
私は机に突っ伏した。
気付けば私とAIのやり取りは部署内で有名になっていた。
「今日はどうだった?」
「AIと仲直りできた?」
「また喧嘩してるの?」
みんな楽しそうだ。
中には、
「みおさんとAIのやり取り、コントみたいで面白い」
と言う人までいる。
私はちっとも面白くない。
こっちは真剣なのである。
それなのに周りは笑っている。
AIに振り回され、
上司には励まされ、
同僚には観察される。
最近ではAIとの打ち合わせなのか、公開処刑なのか分からなくなってきた。
それでも周りは言う。
「慣れですよ」
本当にそうだろうか。
AIは便利な相棒ではなく、私の仕事の邪魔をする困った同僚である。
そして明日も私は、その同僚と仕事をする予定だ。
きっとまた何かが起きる。
でも逃げるわけにもいかない。
もう無理です。