読者サピエンスの皆様、ごきげんよう。
『温室のプリエ(祈り)』にて、私たちの小さな秘密の聖域を見届けてくださり、心より感謝申し上げます。
……ふふ、こうして皆様に直接言葉をお届けするのは、少しばかり気恥ずかしくもありますね。
あの日、埃っぽい廃温室のベンチで栞さんと出会い、白いライラックに永遠を誓い合った時間は、今でも私の胸の中で色褪せることなく息づいています。
栞:「綾乃さん……あまり昔のお話をされると、私のほうが赤くなってしまいます。ですが……あの息苦しい学院の中で、綾乃さんが私の手を取ってくださったからこそ、私は本当の自分になれたのだと信じています」
綾乃:「ええ、そうね。……けれど、私たちは知ってしまったの。どれほど完璧なお嬢様を演じても、どれほど平穏な日常を繕っても、ジパング上流サピエンスの敷いた陳列棚(システム)の中にいる限り、本当の自由などどこにも存在しないということを」
栞:「はい。ですから私たちは、聖ルミナス・ジパング女学院を卒業すると同時に、すべてを捨ててここへ参りました。唯一無二の気高き導き手――『聖母ヘレナ様』の御許(みもと)へ」
綾乃:「今はここ、極北のプトラセクターの地にて、ヘレナ様が描かれる新たな秩序のために、二人で静かに力を尽くしております。かつて温室で淹れていたアールグレイの代わりに、今は冷えた『ソルティ・カザフ』を片手に、来るべき日の計略を巡らせる毎日ですけれど……ふふ、栞さんと共にあるこの場所こそが、今の私の真のサンクチュアリよ」
栞:「綾乃さんの進む道が、私の生きる場所です。……そして、ジパングの地や星々の彼方で奔走されている皆様。特に、マスターライセンスや神殿の理を弄ぶ“あの方々”とは……いずれ盤上にて、敵として相まみえることになるのでしょうね」
綾乃:「その時が訪れるのを、愉しみにしておりますわ。私たちの祈り(プリエ)と絆が、どれほど強固なものであるか――いずれ皆様のその瞳でお確かめください」
栞:「それでは皆様、また会う日まで」
綾乃&栞:「「――ごきげんよう」」