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病は気を患わす

「重症筋無力症」との診断名は、現在の症状以上に精神面でのダメージが大きい。

我が家の家系は、特に本家筋直系男子は短命が多い。60歳前は心疾患で、概ね50歳前後で死んでいる。それを過ぎると癌で、70歳を超えた者はほぼ居ない。

むかし蔵の整理をしていて、赤穂浪士で有名な元禄年間から幕末までの家系図が出てきた。失火のために前部分が焼けて、書庫ではなく蔵に放置されていたらしい。

明治の少し前までの、約180年間で14代も替わっていた。男子は短命で50前で亡くなり、四名の女当主はかなりの長寿だった。村内はじめ近隣での多くの功績は、やはり長命であった女当主が行った物であったようだ。

家系からも近い親族からも、心疾患や癌での死亡は覚悟していた。すでに後期高齢者入りをして、家系的には充分に長生きをした。心疾患・癌の場合は延命措置はしないように「尊厳死の宣言書」で治療範囲の希望を書き、「遺言書」も書いてある。

重症筋無力症は徐々に体力が弱り、嚥下障害や運動能力が失われ、やがては寝たきりに成る。どこで治療の停止をすべきかが解らず、状況によっては延命装置が外れなくなる。どの時点で止めるべきか解らない。

現在は眼瞼下垂・複視と易疲労感があり、特に夕方になると何もする気に成れないほど疲労感が強い。投薬治療で遅延は可能で、進んでもこの病気が原因で死に至ることは無いという。死が怖いのではなく、動けなくなる事が怖い。今は目を開けていることさえ辛い。これ以上進んだら、生きている意味がないのでは、などと考えてしまう。

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