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「星の海を泳ぐ(仮)」制作中。

「片恋カレイドスコープ」、「約束」の世界観を一部引き継いだ新作を制作中です。以下は制作中の文章(変更の可能性あり)一部抜粋。



――坊っちゃん、これは遠い国の妖精が魔女によって姿を変えられた、世にも珍しい黒猫だよ。
大事にしていてごらん、いつか魔法が解けたら、きっと妖精の国に連れて行ってくれるから。
金剛石で出来た眼鏡のレンズの向こうで目を細め、老人は優しい声でそう言った。
眠り兎商店は何でも揃うことで有名だ。赤ん坊の夜泣きを止める深海の真珠を砕いた粉薬に、物忘れを防止出来る黄金の指輪、そして黒猫の姿に変えられた妖精。

(中略)

黄昏時、アメジストで出来た船が星屑を掻き分けながら静かに進んでいく。
大きなブリキの鯨はうたたねをしている。
彼女はその光景に小さな瞳を輝かせた。
セイレーンの歌声が聴こえないようにと母から渡された耳当てをすれば、しんとした静寂の中で自分の鼓動だけが響く。
「どうやったら元の姿に戻れるの?」
「人間に心から愛されるの。そうしたら戻れるわ」
「なんだ、簡単じゃないか」
「どうして?」
「僕は君が好きだから」
彼女は暫く考えて、じゃあどうして戻れないのかしら、と不思議そうに首を傾げた。



こんな雰囲気です。
完成まではまだまだ大分かかりそうです…。

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