どうも、れがと申します。
ここまで3回ほど『航路分岐年代記』の世界について紹介してきました。
ただ、このシリーズは現状書いている作品だけでも2700年代から3700年代まで、だいたい1000年くらいあります。
しかも、その頃には人類は普通に太陽系の外まで進出しているので、
「そもそも、そこに至るまで何があったんだ?」
という話もあります。
というわけで今回は、少し前史も含めて『航路分岐年代記』の歴史をものすごくざっくり紹介していこうと思います。
■ 21世紀末〜22世紀――人類、宇宙へ広がる
まずはかなり昔から。
2090年代には月面資源開発が本格化し、22世紀に入ると月面都市や軌道工業施設が拡大。
その後は火星、小惑星帯、さらに外惑星圏へと人類の活動範囲が広がっていきます。
この辺りから、人類は「地球に住んでいて、宇宙へ仕事に行く文明」から、「宇宙そのものに社会がある文明」へ少しずつ変わっていきます。
■ 23世紀――AI群とFTL
23世紀になると、今度はAIが大変なことになります。
高度化を続けたAIが人類の制御を離れ、現在の作中で「AI群」と呼ばれている独立した知性が成立します。
さらにAI群は、人類にFTL――つまり超光速航法へ至る可能性を示します。
2290年代には初期FTL航行が実証され、人類はついに太陽系の外へ進出できるようになります。
ただし、人類が宇宙の好きなところへ自由自在にワープできるようになったわけではありません。
この世界のFTLは「航路」に強く依存しています。
そして、その航路情報にはAI群が深く関わっています。
この辺りはそれだけで一本書けるので、また別の機会に。
■ 24〜26世紀――恒星間文明へ
FTLが使えるようになると、人類は別の恒星系へ進出し始めます。
2310年代には後にムンドゥスと呼ばれる星系が発見され、2360年代にはスプレンドールが発見されます。
最初は小さな植民地だった場所にも人が移住し、産業が育ち、何世代も暮らすうちに独自の社会ができていきます。
一方、太陽系でも外惑星圏の開発が進みます。
問題は、社会が成長しても、それを動かす制度上の権限まで同じように移っていかなかったことです。
前々回にも書きましたが、内惑星と外惑星は互いに必要としているのに、その関係を管理する権限は内惑星側に偏っていました。
そして27世紀には、その不満がかなり洒落にならないところまで来ます。
■ 2731〜2732年――第一次太陽系大戦
本格的な武力衝突自体は、およそ2年間。
ただし、その前から経済や物流、保険、認証などを使った対立は進んでいるので、実際の対立期間はもう少し長くなります。
この戦争の結果、外惑星連合が独立。
それまでの「内惑星を中心に太陽系全体を管理する」という秩序は大きく崩れることになります。
そして2735年、戦争後の人類社会を調整する枠組みとして太陽系連合が成立します。
名前だけ見ると統一政府っぽいのですが、実際には違います。
複数の独立した政治勢力が存在したまま、その間を調整するための連合体です。
■ 28〜30世紀――人類社会、さらに複雑になる
第一次太陽系大戦が終わっても、人類の拡大は止まりません。
植民星系は成長を続け、2860年代にはテラスペィも発見されます。
そして、かつて内惑星からの自立を求めた外惑星連合も、時間が経てば巨大な経済力を持った既成勢力になります。
その影響力は、成長途中の恒星間植民星系にも及ぶようになります。
まぁ、一度支配する側とされる側をひっくり返したからといって、人間社会から上下関係そのものが消えるわけではないということですね。
■ 3039〜3074年――第二次太陽系大戦
そうして起きるのが第二次太陽系大戦です。
こちらは第一次大戦と違って35年間続きます。
この戦争を通じて、スプレンドールやテラスペィといった恒星間植民星系が、人類圏の主要な政治勢力として本格的に台頭します。
3074年の講和以後、人類社会は太陽系の内惑星・外惑星だけでなく、複数の恒星間社会が並び立つ多極的な社会になっていきます。
■ 3074〜3422年――約350年間の多極社会
ここは結構大事な期間です。
第二次太陽系大戦が終わってから、次の大きな転換点まで約350年あります。
人類はずっと戦争ばかりしていたわけではありません。
それぞれの国家や星系が独自の政治、産業、文化を育てながら、交易や研究、教育、人の移動ではかなり深く結びついた社会が続きます。
この数百年間を経たことで、「複数の独立した国家が存在する」という状態そのものが、人類にとって当たり前になります。
■ 3422年――SP356事変
そして3422年。
スプレンドール方面の外縁資源星系SP356で、人類は頭足人と呼ばれる異星文明と接触します。
ただし、この年からいきなり「人類対頭足人の大戦争」が始まったわけではありません。
最初は未知の存在との接触であり、局地的な武力衝突でした。
それが何年もかけて拡大し、やがて人類と頭足人双方にとって存続に関わる戦争へ変わっていきます。
■ 3430年以降――「永遠の殴りあい」
3430年頃には、もはやスプレンドールだけの問題では済まなくなります。
人類各国は独立したまま、共同で頭足人と戦うための軍事・兵站・情報・航路管理の仕組みを発達させていきます。
そして戦争は終わりません。
10年、20年どころか100年以上続き、やがて生まれた時から戦争をしている世代が何世代も続くようになります。
この長すぎる戦争が、俗に「永遠の殴りあい」と呼ばれるものです。
■ 3530年代〜――離航と統合
戦争があまりにも長く続いた結果、人類内部でも考え方が分かれていきます。
この戦争を続けるために、人類全体をもっと強く統合するべきだ。
いや、そもそもこの戦争と既存の航路圏から離れて、別の宇宙へ逃げるべきだ。
3530年には、後者を選んだ最初の大規模な離航船団が人類圏を離れます。
一方、残った人類社会では共同戦争機構への権限集中が進み、3540年から統合戦争が始まります。
■ 3540〜3568年――統合戦争
この戦争は、28年間ずっと大艦隊同士が殴り合っていたわけではありません。
「人類社会の最終的な命令権を誰が持つのか」を巡って、軍隊だけでなく物流、通信、決済、航路、行政など、社会そのものの支配権が争われます。
そして3568年、統一人類体制が成立。
数百年続いた複数主権国家の時代は、ここで一度終わります。
■ 3568〜3678年――統一人類の時代
統一された人類は、頭足人との戦争を終わらせるため、人口、産業、研究、軍事、物流を一つの戦略へ投入できるようになります。
一方で、離航も止まりません。
統一人類が成立するのとほぼ同じ時代に、人類の一部は既存の人類圏から離れ続けています。
つまりこの時代、人類は「一つになる」のと「別々の歴史へ分かれる」のを同時にやっています。
そして3678年。
人類は、二世紀以上にわたって戦争の接点となってきたSP356の航路そのものを封鎖することに成功します。
……というわけで、かなり無理やり圧縮しましたが、これが『航路分岐年代記』の大まかな歴史です。
ものすごく雑にまとめると、
地球から宇宙へ出る。
↓
太陽系全体へ広がる。
↓
恒星間へ広がる。
↓
揉めて分かれる。
↓
さらに広がる。
↓
また揉める。
↓
異星人と200年以上殴り合う。
↓
一部は一つにまとまり、一部は遠くへ逃げる。
となります。
……人類、だいたい広がっては揉めていますね。
ただ、こうして並べてみると、この歴史には「広がる」「分かれる」「集まる」という動きが何度も出てきます。
しかも最後の統一人類体制が、人類史の最終形というわけでもありません。
この辺りは『航路分岐年代記』というシリーズ名にもかなり関わってくるところなので、次回は「集まる人類と、分かれていく人類」という視点から、この年表をもう一度見てみようと思います。
今回はこの辺で。