■マラリアとキニーネ以降の近代治療薬
キニーネの登場以降、化学者たちは合成によりキニーネを作ろうと心血を注いできた。
その結果アゾ染料が生まれたりなどの副次発明もあったりしたりとかの紆余曲折の末に生まれたのがクロロキン。
本編でルシウスが説明してる通り、クロロキンは耐性獲得前のマラリア原虫であれば絶大な効果を持つ。
近代マラリア治療の代表的な薬剤。
なおもう一つの薬剤としてピリメタミンが効果がないと言っているが、クロロキンがヘム重合の阻害によりマラリア原虫を『殺す』のに対し、ピリメタミンはマラリアが増えるための餌である『葉酸』の活性化阻害薬、つまりマラリア原虫を増やすのを阻害することで治療を行うというルートなのでそもそも作用機序が異なる。
そしてピリメタミンは活性化阻害だけではクロロキンと比較すると治療効果は薄いので、葉酸生成そのものを阻害するスルファドキシンと合わせて使う(SP合剤)ことによりマラリア原虫をいわゆる『餓死』させることで初めて効果が出る。
なお、現代においてはどちらも耐性原虫が出現により、一部地域を除いて第一選択薬としては一線からは退いている。
■余談:日本におけるクロロキン
クロロキンは日本においては(悪い意味で)行政史に残る薬品となっている。
具体的にはクロロキン薬害事件と呼ばれるもので、国外(アメリカ)で長期服用の副作用による網膜毒性が確認されていたにも関わらず、長期使用の規制を適切に行わなかったことにより多数の薬害が発生。
この訴訟では最高裁により「行政の不作為に関する基準」が示され、この判例は以後の薬害に関する国賠に関しての重要な指針となった。