https://kakuyomu.jp/works/822139844297059828/episodes/11054822665992617106
ヤソタケルの手、足、胴体などを縛った紐が四方八方に伸びて、その紐の先をウカシ兵達に握られたまま、ヤソタケルは我々の前に連れてこられた。
まさにツチグモの名の通り、蜘蛛のような姿だ。
オオクメ殿が言う。
「イワレビコ様に人死にの様子を見せることはない。とっとと片付けよう」
「カミさんの仇なんだろ、オオクメ。お前に任せるぜ」
サオネツヒコ殿がそう言うと、オオクメ殿はワシやオトウカシ殿、サオネツヒコ殿の顔を見てうなづき、地面に這いつくばっているヤソタケルに視線を落とす。
「オトウカシ、こいつを起こしてくれ」
オトウカシ殿が合図を送ると、ヤソタケルを縛っている紐を持っているウカシ兵がその紐を引き、ヤソタケルをオオクメ殿の前に立たせる。
オオクメ殿とヤソタケルの目が合う。
「俺様を、殺すか?」
オオクメ殿は無言で石斧を振り上げる。
「俺様の女達、あの娘らは許してやってくれ。酷い目にあわせないでくれ」
「知るかよ」
オオクメ殿はぼそりとそう呟くと石斧を振り下ろし、ヤソタケルの頭を割った。