こんばんは。「音に、音はない」第57話が更新しました。
https://kakuyomu.jp/works/16818792435869696813/episodes/16818792439532144090 ここまで進んでくると、本当に大きな一歩だなあと感じます。音羽はもう、ちゃんと声を出せるようになりました。まだ少し子どもみたいにたどたどしいところはあるけれど……それでも、澪にとって、好きな人が耳元でちいさくおしゃべりしてくれる――それだけで、とても幸せなことなんだと思います。
ソネット18には、本当にたくさんの朗読バージョンがあります。俳優さんのものも、アーティストのものも有名なものが多いですが、私がいちばん好きなのはこの朗読です。Michael Hoppe のアルバム How Do I Love Thee に収録されているもので、このアルバム自体に好きな朗読がたくさんあります。
https://www.youtube.com/watch?v=nfBxNtzsNVE&list=RDnfBxNtzsNVE&start_radio=1この朗読を耳にしてから第57話を読んでいただけたら、きっと物語がもっと美しく、もっと深く心に響いてくると思います。
Shall I compare thee to a summer's day?
Thou art more lovely and more temperate:
Rough winds do shake the darling buds of May,
And summer's lease hath all too short a date:
Sometime too hot the eye of heaven shines,
And often is his gold complexion dimmed,
And every fair from fair sometime declines,
By chance, or nature's changing course untrimmed:
But thy eternal summer shall not fade,
Nor lose possession of that fair thou ow'st,
Nor shall death brag thou wand'rest in his shade,
When in eternal lines to time thou grow'st,
So long as men can breathe or eyes can see,
So long lives this, and this gives life to thee.
これは戸所宏之訳です。
https://marieantoinette.himegimi.jp/booksonnet18.htmそして、私は『音に、音はない』に合うライトノベル風のバージョンを試しに翻訳してみました。
ソネット第18番
君を夏の日にたとえたらどうだろう。
いや、きっと君のほうがずっと美しいし、
もっと穏やかなんだ。
五月の小さな蕾は、荒い風に揺らされてしまうし、
夏なんて、あっという間に過ぎ去ってしまう。
太陽はときに、熱すぎるほどまぶしく照りつけるし、
その黄金の顔も、ときには雲に隠れてしまう。
どんなにきれいなものも、
いつかはその美しさを奪われてしまう――
偶然にせよ、自然の流れにせよ。
でも、君の永遠の夏は色褪せない。
その美は決して失われはしない。
死神にさえ「影に連れ去った」と
誇らせはしない。
君は永遠の詩のうちに、
時そのものへと熟していくから。
人が息をし、目で光を見るかぎり、
この詩も生き続けて、
君に命を与え続けるんだ。
みんなが、この夏の名残をしっかりつかまえて、かけがえのない幸せを味わえますように。