• 詩・童話・その他
  • 恋愛

『百妖百酒』妖怪図録|笑う妖「白燐」、その正体は——伝説の神獣・「帝江」!?

皆さん、おはようございます。
今日は、第一話に登場した小さな妖「白燐」の設定を、少しだけ補足したいと思います。

【白燐(はくりん)】(第一話に姿を現す/架空妖)

分類:浮遊妖(ふゆうよう)

その姿は、白く光る綿毛のような小さな粒子。
実体はなく、音と光の気配だけで存在を保っている。
ふだんは塵や埃に混ざり、人の心に寄り添うようにして漂っている。
悲しみ、迷い、孤独といった感情に触れたとき——
まるで笑い声のように「クスクス」とささやきながら現れる。
指先ほどの小ささで、ふわふわと舞い、触れると「ぽんっ」と光になって弾けて消える。

それは、心の隙間から漏れた「見えない想い」そのものかもしれない。

第一話:
https://kakuyomu.jp/works/16818622177275768136/episodes/16818622177282648297

【帝江(ていこう)】(『山海経』所載・実在妖)

分類:神禽(しんきん)/総体妖(そうたよう)

白燐たちが、無数に集まり、千年に一度だけ融合するとき——
そこに生まれるとされる伝説の“神鳥”。

姿は炎のように赤く、金色に輝く羽毛で全身が覆われている。
しかし、羽も目も口も足もなく、ただただ「丸い塊」にしか見えない。
まるで巨大な黄玉の綿毛。その中央には空洞があり、無数の声がそこから溢れ出る。

その鳴き声は、笑いにも歌にも聞こえ、時に風となり、時に雷のように響く。

かつて『山海経』に記された記述によれば:

「有神焉,其狀如黃囊,赤如丹火,六足四翼,渾敦無面目,是識歌舞,實為帝江也。」
すなわち——
帝江とは、「無」から成る存在。
目も口も持たず、“心”と“音”だけで世界と関わる神霊。

一見「声なき神」とも呼ばれるが、実際には“音”を生む存在でもある。
その「声」とは、耳で聞くものではなく、心に響く振動、気配、そして記憶の音として現れるのだ。

※なお、「帝江」はまだ物語には登場していませんが、画像の後方にいる黄色いふわふわの塊——あれが、その仮の姿とされています。

◆白燐 → 帝江への進化伝承
古来より、白燐は「人の心の塵」と呼ばれ、
そのすべてが一つに集うと、帝江が生まれると信じられてきた。

白燐:感情の欠片、光の綿毛
帝江:想念の集積、声なき神
どの国にも、どの時代にも、
夜空に白い綿毛が舞うとき——帝江の胎動は始まっている。

2件のコメント

  • 人の心の「見えない想い」、「人の心の塵」である白燐と、
    それが集って生まれる帝江ですか…

    帝江が生まれるのが千年に一度ということは、
    その生まれたタイミングの、人々の心持ちによって、
    毎回その姿や性質が変わってきそうですね。

    『山海経』が書かれてから、二千年以上の時が流れていますが、
    今もし、
    帝江が生まれるとしたら、
    どんな姿をしているのでしょうか…?
  • 蒼風さん、碧さん、答えは二文字だけ〜さあ……
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する