(……あお?)
人影の頭と思しき場所に青い色が見える。それはぼやけた視界でも鮮明に見えるほど、深い色をしていた。
濃い青ともいえる。しかし複雑な碧ともいえた。あれは恐ろしく深い海原《うなばら》の色だ。
肌の色は白く、着ている衣装も白い。目鼻立ちが整っているのか、鼻梁の陰影が際立って見えた。服装は首元が詰まった長衣を纏っている。胸には飾りらしきものが垂れ下がっている。
『———また黒い髪の者か。瞳も土色とは。異界の者はなんと汚らしい』
瑠璃を見下ろす人物が忌々し気に告げる。やや高い男性の声だった。声音は酷く冷たく、一切の温度が感じられない。
不穏な空気を感じ取り、瑠璃の心が不安にざわついた。