「美味しー!」
やっぱりこのカフェは最高だなぁ。季節限定のパフェは絶品だ。
「もー。口についてるよ。」
「わっ……ありがと。」
「世話が焼けるんだからー。」
「そっちも、ついてるよー。」
「えっ。……自分でやるから!」
拭いてあげようと思ったら拒否られた。今日はお世話したい日らしい。ペロッとパフェを平らげた後は、鞄から勉強道具を取り出して本題に入る。
「ってことで、期末試験の勉強会ー。」
「おー。」
彼女は片手をあげてやる気を見せる。
「まずは数学からー。」
期末試験まで後一週間だ。そろそろ勉強しないとやばい。ため息が漏れるが、時間は待ってくれない。
「夜月、わからないとこがあったら教えてよ。」
「もちろんだよ。日向。」
これは、異世界に行かなかった世界線の、最強の2人のお話である——。
・・・
その日は、綺麗な星空が空を覆い尽くしていた。
「ねぇ、日向——。」
ずっと、胸の内に秘めていたことを吐き出した。しかし、日向は困った顔をしたのを、よく覚えている。確かあれは2年生、春頃だった。
「私達、女子同士だよ?」
この言葉のせいで、私はまた一歩進めなかった。そんなの関係ないって、言いたいのに。日本の制度が立ち塞がってきてしまう。私のような人は、まだ理解されていない。大分広まってきてはいるが、女性同士、男性同士なんて気持ち悪いという人もまだ一定数いるのだ。
「っ……ごめん。困らせちゃって。」
そうやって、何度も挑戦しては立ち止まってしまう。ああ、こんな面倒な世界じゃない場所に行きたいなぁ。そんなことを考えても、何も起きやしない。
もし異世界なんてものがあったら、私はもっと伸びやかに生きれるのだろうか。それとも、絶望して動けずに死ぬのだろうか。……そんなこと、ありえないんだけど。
・・・
「はぁ………」
「ため息ばっかりつかない!」
「はぁーい。」
期末試験は明後日だ。もう2学期が終わってしまう。吐く息はもう白く、冬の訪れを感じさせる。私は夜月に、まだ素直な感情を吐き出したことがない。
どうしても、周りの目が気になってしまうのだ。中学の時のクラスメイト——あの目を、あの表情を、忘れたことは一度もない。今でもたまに夢に見てしまう。それでも、最後には夜月が助けてくれるのだ。その時から、ずっと、夜月の事が——
「日向?ぼーっとしてどうしたの?」
「え?あ、ううん。なんでもないよ。」
もう期末試験が近いんだ。心に鍵をし、また机に向かう。
・・・
期末試験が終わった日。また夜月に呼び出された。要件はもうわかっている。でも、私は——
「日向。」
夕焼けが綺麗だった。空は高く、手が届きそうにない。
夕焼けの光で、夜月の顔は見えなかった。
「ごめんね。また呼び出しちゃって。」
「ううん。大丈夫。」
「今日で、終わりにするから。」
「——え?」
それってどういう——
「日向も、迷惑でしょ?……だからさ、絶交してくれない?もう、日向といるのは——っ」
喉が震えて、うまく声が出せない。額に変な汗が浮かび上がり、手も震えている。
「……ごめんね。日向。」
夜月の声は上擦っていた。
ずっと一緒だって約束したのに、ずっと2人で一緒だって、そう、言ったのに……。その約束も、今日でおしまい——?
いやだ。そんなのは、絶対に、
「いやだ!」
私の口から発せられたとは思えないほどの声だった。
「ずっと、ずっと一緒にいたい、絶好なんて、いやだ……。」
「っ……!」
夜月は唇を噛み、こう続けた。
「だって、だって!日向といると、おかしくなりそうなんだもん!好きで好きで堪らないのに、それを世間は許してくれない!これなら、離れた方が——」
「——だったら!私が守るよ!だからさ、ずっとそばにいてよ……。ごめんね、ずっと隠していたけどさ……私も、夜月の事が好きなの。守ってくれたあの日から、ずっと——。」
日が沈んでいく。夜月は手を口に当てて、後ずさっていた。
「うそ……じゃあ、なんでいつも——」
「怖かったの」
声が高くなってしまう。目から勝手に溢れるものを、抑えきれない。
「怖かった、ずっと、周りから認められないのが。でも、夜月と離れるよりはよっぽどマシ。」
「そっか……じゃあさ、私も守るよ、日向のこと。そうすればさ、」
「ずっと一緒にいられる……。」
足が勝手に動く。ただ今は、夜月に近づきたかった。2人で抱き合い、言葉を紡ぐ。
「夜月……恋人になろ?」
「っ……!もちろん!」
声をあげて泣いたのは、いつぶりだろうか。そんな私達を、星々は静かに見つめていた——。
〈あとがき〉
エイプリルフールネタっていいですよね。本編とは関係ないので近況ノートに出しました。例え異世界に行っていなくても、2人の運命は変わらないんじゃないかなーって思って書いたIFストーリーです!2人はこの後も、幸せを噛み締めるんだと思います。不自由な世界で、自由に生きる2人は、なかなかいい画になると思いません?
そういえば、いつも思いつきの一発書きなんですよね。今回もそうです。拙い文章でごめんなさい。努力はそんなに向いてないもので。っと、自分の話はいらないですね。
それでは、今後ともよろしくお願いしますと書いて、あとがきとさせていただきます。2026年4月1日。
……それだけ。