南足洵ノ佑です。
このたび、長編パニック小説『群獣襲来Ⅱ ―列島、一年目―』の公開を始めました。
前作『群獣襲来』の、およそ一年後の日本を描く続編です。
前作が「十日間の生存記録」なら、本作は「一年目の生活記録」です。
怪異は去っていません。去らないまま、人は出勤し、子どもは小学二年生になります。
◆ 舞台:夜間外出禁止令下の東京
封鎖区域への物資輸送は、自衛隊の護衛がつく夜間コンボイで行われます。
灯火管制、視線の規律、獣の索餌行動との遭遇と回避。
前作では命がけで身につけた知識が、いまは業務手順書の箇条書きになっています。
皇居外苑では、体長百二十メートルの死骸の解体作業が続いています。
柵の外には、見物人と、花束があります。
◆ 時限装置:沖の三体
伊豆・小笠原海溝の深部、深度およそ二千メートル。
十か月間沈黙していた三つの音源が、三月、動き始めました。
政府は針路と速度から到達予測を公表します——十月、房総沖二百キロ圏。
読者は最初から、締切を知らされた状態で読み進めることになります。
未知の恐怖ではなく、予報された恐怖の話です。
◆ 主人公:運ぶ人であり、書き取る人
西村浩司(36)物流会社の中間管理職。復興輸送部の課長として夜間便を仕切ります。
今回はもう一つ、防衛省の委嘱で「あの十日間」の民間証言を聞き書きする役目を負います。
相変わらず、特殊な技能も装備もありません。動線を引き、名簿を作り、人の話を書き取るだけです。
西村由子(34)妻。今回の家庭側の主題は「説明する責任」です。
西村芽生(7)娘。雨の日にサイレンを聞くと、まだ固まります。
◆ 新しい顔ぶれ
真行寺涼子(44)国立科学博物館の研究者。
「殺す必要のない相手を殺す余力は、いまのこの国にはありません」と言い、
のちに「殺せるうちに殺すべきです」とも言う人です。矛盾なく、両方言えます。
柏木隼人(23)若手ドライバー。前の年に家族を失い、夜間便に志願し続けています。
檜山(74)元金型職人。避難したはずの区域で暮らしている人たちの、長です。
退去させることは正義か、という問いを、行政にも読者にも突きつけます。
キャッチコピーは、こうしました。
「来ることは分かっている。分からないのは、終わり方だけだ。」
この一行の意味は、最後にわかります。
どうぞよろしくお願いいたします!
南足洵ノ佑