いま、世界中の観光地がそうであるように、埼玉の川越も人気の観光地で、行けば外国人が多すぎて、地元の人がのんびりできない在り様である。
(サグラダファミリアだって、20年前は地元の人ののんびりスポットだったと先日の『クローズアップ現代』でやっていたが、ソースとして微妙ではある)
けれども、昔は『残念な観光地』扱いだったのだ。
川越は『小江戸 川越』と呼ばれ、昔の蔵造りの町並みが美しい地方都市であるが、そうなっているところは街の一部であり、歩いて二十分もすれば蔵造りゾーンは終わりである。
だから、見る観光が主体だった頃には『川越より凄い蔵造りの街』なら、日本各地にあるよね、という話で終わった。
その頃私は、建て替える前の老舗鰻屋『小川菊』とか、地元の客が中心だった『シマノコーヒー』とかが好きで、のんびりくつろいで過ごせていた。
雰囲気が変わったのは、twitterの登場する前、mixiの流行りだした頃である。
観光地においては、一部を切り取って映える写真が撮れることが一番大切で、街並み全体の評価など二の次の時代が来たのである。
そうなってしまうと、『小川菊』も『シマノコーヒー』も混んでしまうし、ウナギやコーヒーが目当てなのやら写真を撮りたいのやら分かりにくい連中が幅を利かせるようになり、待たねば店には入れぬ日のあるようになる。
やがて観光立国が国是となると、川越は東京からのアクセスが良いので、多数の外国人が押し寄せるようになり、『小川菊』も『シマノコーヒー』もそう簡単には入れない天上の店となる。
それがどうにかなったのはコロナの時で、世の中には悪いけれども、久しぶりに『小川菊』や『シマノコーヒー』を楽しむのには都合がよかった。
ふたたび、並ばないで『小川菊』でメシが食べたい、『シマノコーヒー』でくつろぎたいとか思うのが本音ではあるが、軽く世の不幸を願うようで、微妙な気持ちもするのである。
画像は、川越祭りの山車(2012年撮影。なんじゃ、わしも普通に観光してたじゃん!)
