専門学校に入って、本格的に小説の勉強を始めた頃から、
短編の執筆がどうも苦手だった。
「作品という世界の中で生きている登場人物達の懸命さを、短い文章で表現するのは失礼にあたる」
そんな建前めいた個人的信条もあったせいで、原稿用紙五枚の短編を書けと言われたのに、その十倍以上の量を書いて講師に怒られた事もある。
それが短歌や俳句や川柳のようにさらに短く、
詩や写真といった一瞬という間を切り取ったものであればその思いは強い。
時折、私のような売れない小説家もどきとXでお話しして下さる上、
同じ出版社から今回ご紹介する新刊を出した『同志』であれば、なおさらだ。
心から詩と写真を愛しているフロリダ久美氏の新刊『SUN光(さんみつ)』~自然とソーシャルダンス~は、2020年のコロナ過の時期に彼女が感じ取った一瞬一瞬を決して飾り過ぎていない詩と、美しい自然風景を切り取った写真という二つを重ね合わせた良作だった。
先にも書いたが、私は短い文章が苦手だし、写真も滅多に撮ったり撮られたりもしないので、そういう面では素人以下だろう。
だが、そんな素人以下の私でも、この作品には本当に心惹かれた。
好きな作品は「足元の小さな幸せ」シリーズ。
そして、一番心惹かれたのは100ページ目の詩。
ご存じの方もいるかと思いますが、私は生涯にただ一人と決めていた最愛の恋人を突然死により、その死に目にすら会えずに亡くしました。
今でこそ落ち着きを取り戻していますが、彼を失った悲しみは一生癒える事はないでしょう。
そんな私が目にした100ページ目のあの詩は、図らずもまだお会いした事もない彼女から強く励ましていただけたような気がしてならなかった。
彼を亡くしたばかりの頃は、筆を執る事すらできずに呆然とする日々だったが、今はあの詩のようにいつかその時が来ると思って書き続けている。
彼女は「井関さんの方が素晴らしい表現者です」とよく言って下さるが、
その言葉、そっくりそのままお返ししたい。
彼女の詩と写真に出会えて、よかったと思っています。
おっと、また私の悪い癖が。
やっぱりどうも、短い文章で紹介などは難しいですね。
これ以上はキリがなくなってしまいますので、後は彼女ご本人にお伝えできればと思います。
井関和美でした。