https://kakuyomu.jp/works/16816700427807848148/episodes/2912051600429528551 沈没ライフ最新話公開。251話から始まる一連の岳人の風邪にまつわる連作閑話はこれにて完結。岳人の風邪に気付いた美岬がこっそりと飲み薬を作るが……。
■マラリアの話■
さて、今回の話でも登場した『クソニンジン』については前の記事でも触れたので詳しい説明は割愛しますが、クソニンジンが現在世界中から注目されている一番の理由は、マラリアの特効成分のアルテミシニンを多く含有していることと、この植物が世界中に分布していることによります。
元々は中央アジア原産らしいですが、シルクロード交易により東西世界に広がり、種子がめちゃくちゃ小さいので風や川で移動し、鳥や動物に付着して運ばれ、日本を含め世界中に広がりました。
元々ヨモギという植物はハーブの女王という異名があるほど薬効成分が多いことで知られていますがクソニンジンはその中でも別格でマラリアだけでなく強い抗ウイルス性もあるということで新型コロナウイルスにも確かな効果を発揮しています。
今回はマラリアについてです。日本ではあまり馴染みがない病気ではありますが、人類史上最も多くの人間を殺してきた恐ろしい病気です。この病気は温暖な気候に棲息するハマダラ蚊という蚊が媒介する病気なので空気感染はしませんが、蚊に刺されないようにする難しさを考えるとその厄介さが理解できます。
このハマダラ蚊は日当たりのいい場所の温い水たまりに卵を産む習性があるので、その条件を満たせば日本でも爆発的に増える可能性はあります。水田も多いですし。東南アジアを行き来する飛行機経由でおそらくハマダラ蚊そのものは日本に入ってきていると思いますが、定着しないのはまだ条件が整っていないだけかと。
マラリアの特効薬であるキニーネは南米ペルー原産のキナの木の樹皮から採れるエキスですが、発見されたのは15世紀です。効果はあるもののめちゃくちゃ苦くて飲みにくかったので、それを緩和するために砂糖と炭酸水で割ったものがトニックウォーターの始まりと言われています。
戦前戦中、日本はジャワや台湾でキナの木の栽培を行っていましたが、ジャワ産に比べると台湾産は効能が低く、日本本土では風土が合わずに栽培すらまともに出来なかったとのこと。
日本本土でキナの木が育てられないことを考えると、日本でもぐんぐん育つクソニンジンの価値が高まります。もちろん医療インフラが崩壊していなければ普通に病院でマラリアの薬は処方してもらえますが、それができなくなった状況がサバイバルですから備えあれば憂いなしでしょう。
最後に、クソニンジンの採集時期ですが、花の蕾が付き始めたぐらいが最も薬効が高まるそうなので、その頃に刈って干して乾燥させて保存しておくのがおすすめです。