ご要望があったので書いてみました。
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【ステラ視点】
私は戦闘メイドと呼ばれていますが、自分ではその本質はただのメイドと変わりないと思っております。
ただ他のメイドより少しばかり戦うことが出来る、ただのメイドでございます。
そんな私ですから、他のメイド同様、たった1つのお望みがあります。
それは、身命を賭して尽くしたいと思える主にめぐり合いたい――
毎度の本懐とはそれに尽きると、私は思うのです。
ただ、残念なことに、私のその望みはかなわなかったようです。
使える主に捧げるべくしたこの戦闘技術も、今やただの肥やし……
私の仕事は、ただベッドの上で、主に足らない男性に組み伏せられ、時が過ぎるの待つばかりの仕事と化してしまいました。
ああ、せめて、せめてジョボ様が私の求める主たる資格を少しでも有していれば、私はこの時間さえ、愛おしく思えるのに違いないのに……そればかりが悔やまれます。
いえ……使用人が仕える主を選ぼうなどと、その心こそ、私が未熟なメイドだから考えてしまう事なのかもしれません……
今日も、こんなことばかりを考えながら、旦那さまと過ごし寝屋の時間は過ぎていきます。
その日の旦那様には……何か、違和感がありました。
領民が攻めてくる、そう聞けば、今までの旦那様ならば、ある程度の家財を思って、私と、その他信頼のおける奴隷を連れて屋敷を逃げ出すか、あるいは、領民を甘く見て何の準備もせずに迎え撃とうとするか……
ですが、その日の旦那様はセバスティオールさんに意見を聴き、なんとその意見を採用成されたのです。
この時、私は少しばかり、旦那様の中に可能性を見出しました。
などという言い方は、使用人にあるまじき言葉なので、口には出せませんが……
やはり、旦那様は変わられました。
『貴族とは特別な存在で、平民如きとは格が違うのだ。いや、最早別の生き物と言っても過言ではない』
私の記憶では、以前にこんなことを口にしておられた旦那様が、今や平民と戦うために事前に準備をし、それどころか、自らを鍛え直そうとまでなされている。
この時、私が見出した旦那様の中の可能性は、既に確信に変わろうとしていました。
旦那様は変わろうとなされている、まだ、私が心から尽くしたいと願うお姿とは遠いけれど、ならば私も変わろうとしている旦那様の助力に全霊を注ぐべきでしょう。
それが、メイドという物だと、私は考えます。
――旦那様ははじめ、領民を殺さないのは税収の為、そうおっしゃっておりました。
ですが、それは嘘のように思えました。
片足の骨が折れようが、畑を耕させることは可能でしょう。
片腕の骨が折れようが、野菜を収穫させることは可能でしょう。
昔の旦那様ならば、全身の骨が折れていようが、不治の病魔に蝕まれていようが、死ぬまでは働いて税を納めろと仰ったでしょう。
それが、まさか眠り玉にしびれ玉まで用意して、出来るだけ領民を傷つけずに済む作戦を立案なされるとは……
そこまで民の事を――領地の事を考えれる方ならば――
私はこの方に賭けてみようと思いました。
主が選べぬ立場ならば、せめて、今の主を立派な人物に導くことこそが私の使命だと、そう思えたのです。
……なんて、我ながら都合が良いですね。
旦那様がご自身でお代わりになろうとしているのに、まるでそれを自分が成したかのように言うのは……
私に出来るのは旦那様のサポートだけです。
なにせ、私はメイドですから。
「これも、あなた方が謀反を企ててくれたおかげです。ならば旦那様の意思に従い、可能な限り怪我をさせずに捕縛するのが、せめてもの恩返しです」
戦闘メイド、ステラ…………参ります!