現在連載中の『一途な想いにも、ほどがある!』(BL)ですが、カクヨムコン期間内に完結させるべく、めちゃめちゃ駆け足で更新中です。
ストーリーは書き上がってはいるのですが、手直しをしないと上げられない状態のため、ちまちま更新中(汗)
お読みいただきました方、応援していただきました方、本当に本当にありがとうございます!
@maco-aki様、ゆつみかける @猫部様、宮永レン様、星灯ゆらり様、@Amanoru様、応援していただき、もう、感無量です!!
◆常識の通用しない御曹司に、一目惚れされちゃった男の子の物語で、コメディだったり、シリアスだったりと、いろいろ詰め込んでみましたので、ぜひお立ち寄りしていただけると嬉しく思います。
https://kakuyomu.jp/works/16818093091817922881「さ、寒い」
寒波襲来の朝のニュースは正確で、手足が凍りついたように寒い。
「ならば、肌を合わせるのがよい」
「は?」
「寒い時は、裸で抱き合えばよいと小説にあったが」
朝から真顔で言われた台詞に、俺はさらに寒くなる。
「遭難したカップルが山小屋でって、非現実の話な」
それは空想世界の話だと睨んでやれば、天王寺は「ふむ」と、妙な声を出した。そして、
「では、遭難すればよいのだな」
と、とんでもない発想を口にする。遭難すれば裸で抱き合えると、凄まじい勘違いと共に。
で、
「早急に山小屋を建て、電波も遮断せねばならぬな、現地まではヘリを飛ばすとするが、浴槽は設置できるであろうか? ……今から手配するとなれば、そこまで無理もできまい」
風呂は諦めるしかないと、天王寺の中で何かが決まり、不意に肩を掴まれた。
嫌な予感しかしないと、俺の顔は引き攣る。
「帰宅時間までには手配を完了させる。よって、しばし待つのだ」
「待たないっ!」
「1秒も待てないと申すかっ」
なんでわざわざ自主的に遭難しなきゃならないんだと睨めば、天王寺は嬉しそうに微笑む。
「早急に抱きしめて欲しいのならば、早く言えばよいものを」
「は? ……い?」
「遭難などせずとも、私はいつでも姫を抱きしめる心得がある」
だから、この腕に飛び込むがいいと、両手を広げられ、俺はダッシュでそこから逃げた。