男性です。たまに近況ノートで『隠れ名作を見つけた』と称し、読んで面白かった★やPVの少ない作品を紹介しています。詳細はプロフィール下部参照 --------------------------------------------------------------------- 【作品一言解説】 「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」 同性愛者の少年と腐女子の少女によるラブコメという体裁を取りながら、性的マイノリティに付き纏う現実を大真面目に書いたジャンル分類に困る長編小説(あえて言うなら青春小説)。代表作。 「僕とぼくと星空の秘密基地」 家庭環境に少し問題のある少年と家族を失って孤独に生きる老人の交流を書く長編ジュブナイル小説。大人の「僕」の回想と子どもの「ぼく」の体感を混ぜて物語を紡ぐという少し変わった趣向あり。 「お前はすでに死んでいる。」 嵐のペンションで「五人の客の中で誰が死んでいるか」を議論する不思議な会合を書く中編ミステリ風コメディ小説。 「小笠原先輩は余命半年」 大学生の女の子が余命半年を宣告された大学の先輩およびその仲間とひと暴れする短編恋愛小説。 「ある同性愛者のクリスマス」 代表作「彼女は好きなものはホモであって僕ではない」が★200を突破したことを記念して書いた番外編。本編開始から数か月遡ったクリスマスの出来事を綴った短編小説。 「曇り空のZOO」 曇天の上野動物園を舞台にした「家族」がテーマの短編小説集。それぞれが独立した話となっており、エピソード間に繋がりはありません。 --------------------------------------------------------------------- 【『隠れ名作をみつけた』バックナンバー】 <第1回>(https://kakuyomu.jp/users/Mark_UN/news/1177354054881935343) 紹介作:本当と変の話 著者:前田 尚 ジャンル:現代ドラマ 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881327064 <第2回>(https://kakuyomu.jp/users/Mark_UN/news/1177354054882005939) 紹介作:感染性バスジャック症候群 著者:カスイ漁池 ジャンル:現代ファンタジー 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881977185 紹介作:じゃんけんに熱狂する村 著者:カスイ漁池 ジャンル:詩・童話・その他 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054880764355 <第3回>(https://kakuyomu.jp/users/Mark_UN/news/1177354054882533774) 紹介作:汎銀河企業体 メロンスター.Inc 著者:鶴見トイ ジャンル:SF 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/4852201425154990397 <第4回>(https://kakuyomu.jp/users/Mark_UN/news/1177354054882865139) 紹介作:キツネ・サマー・サヨナラ 著者:うさぎやすぽん ジャンル:現代ファンタジー 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881875783 <第5回>(https://kakuyomu.jp/users/Mark_UN/news/1177354054883487888) 紹介作:はんぶんこの、おぼろくん 著者:犬飼鯛音 ジャンル:恋愛 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054882964241 <第6回>(https://kakuyomu.jp/users/Mark_UN/news/1177354054883914769) 紹介作:六人の赤ずきん 著者:@icecrepe ジャンル:ホラー 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054882837771 <特別編(短編5作)>(https://kakuyomu.jp/users/Mark_UN/news/1177354054884017903) 紹介作:円満倒産 著者:台上ありん ジャンル:現代ドラマ 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881883455 紹介作:メロンだったら良かったのかもしれない 著者:水池亘 ジャンル:恋愛 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054880593882 紹介作:Imo☆Kenpi 著者:やたこうじ ジャンル:異世界ファンタジー 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054881976505 紹介作:僕の好きな人。 著者:鈴川 ジャンル:恋愛 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054882185089 紹介作:嘘松アーニャと夢色異世界 著者:ピクルズジンジャー ジャンル:現代ファンタジー 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054883760270
生き物、性、死、孤独、個人的な、破滅、はじまり、終わり、流れ、架空、スピリチュアル、不完全な、イノセント、などをキーワードにした短編物語を書いています。
YouTubeの概要欄で小説を発表しています。オリジナルの純文学、恋愛小説、ボーイズラブを書いています。 タイトルは『百年経っても読まれる小説の書き方』 https://www.youtube.com/channel/UCRPUTEZPFUEvKSI2IAaHBjw トップ5ビデオが全部が観られるプレイリスト https://www.youtube.com/watch?v=7hkgxafSOAk&list=PL4gh5DQAT3fJscrYjXZ12zSAi85GcoJ7M 私の掌編を御紹介。 『そんなことしたら寂しくて死んでしまう』 女って馬鹿ね。まだ諦めない。祈ってる。神様なんて信じてないのに。和光の前で心臓がガクって跳ねて、うずくまりたくなって、でもそれはできなくて、レオナには行く所がある。死ぬ前に。 レオナが崇拝するデザイナー。最期に覗きたかった。銀座の本店。閉店してるのは知ってて、でも閉店してなくても、レオナは中に入らなかった。シャネルスーツの金色のボタン。そこにスポットライト。 発光する金色。その上をなにかが回っている。そんなわけないのに、そんなことがレオナには時々ある。死んだデザイナーに死んだら会えるのかな? 自殺だと違うとこに連れていかれるのかな? 時雄(ときお)に宣告した。もう一度したら終わりだって。 レオナの父と母は、私をプリンセスみたいに育てて、欲しくても自分のものにならなかったのは、時雄が初めてだった。 時雄がその人といるのを見た。私には見せたことない笑顔。終わりだって言ったでしょ? 胸の骨が痛むほど泣いた。なんで泣いてたの? 私、なんで泣いてたの? 欲しいものはなんでも手に入るはずだった。 どうやって死ぬ? 飛び降りるのは怖いし、鉄道も怖いし、薬をウォッカと一緒に飲む? そうだ! 川に飛び込む。東京の川は汚そう。太宰の頃はきっと綺麗だった。 地方に行く? まだ楽勝に電車はある。相当遠くに行けそう。なんでわざわざ地方に行くの? ビルだったら東京の方がいっぱいある。 そうだ、樹海! あそこに行こう! 馬鹿ね。そんなことしたら寂しくて死んでしまう。って、死にたいんじゃないの? 無理よね。銀座にいたってこんなに寂しい。 警備員を見たら、あっちもこっちを見ていた。若造だし、頭が悪そうだったから無視する。人生の最期に見たいものを見る権利がレオナにはある。まだ金色のボタンになにかが回っている。なんだろう? 顔がウィンドーに触れるくらいで、実際、額がガラスにぶつかって、冷たさにさっきみたいに心臓がガクって跳ねた。 小さな夜汽車が回っている。その窓は眩しくて、人が乗ってて、薄っすらと煙を吐いて。それは五個ついてるどのボタンにもいる。『銀河鉄道の夜』を思い出す。宮沢賢治好きじゃないのに。ごめんね、宮沢賢治。 ゆっくり回ってる汽車にはたくさん人が乗っている。煙ももっと吐いている。そうじゃないのは、乗客が一人か二人。凄い速さで回っている。これで採算が合うのかな? 変な心配をする。学校の遠足みたいな人達がいて、膝に風呂敷で包んだお弁当を抱えて、嬉しそうで。 「Nice legs!(いい足してんじゃん!)」 金色のオープンカー。どっかの白人が私に叫んで口笛を吹く。うるさい。死ぬ時くらい静かにして。 でもレオナは人のこと怒れない。死ぬ時くらいはお洒落にしようと思って、一番短いワンピースを着た。 もうたっぷり見たかな? 死んでも後悔しないかな? 信号は丁度青だ。レオナは道を渡る。ステップは意外と軽い。 百貨店のウィンドー。そこに短いワンピースの女が映る。いい感じ。髪も完璧。「Nice legs!」。銀座らしい美人。振り返っても誰もいない……。なんだ! ハイヒールでジャンプして、ウィンドーの自分を見る。笑う、笑う。誰か私の笑いを止めて!人々は憐れんで私を避けて通る。 レオナは生きてる。人生は始まったばかり。なんだ! なんだ! 馬鹿な時雄のことなんて捨てる。笑うと胸が痛い。あんなに泣くんじゃなかった。 もう一度信号を渡って和光の前に戻る。五人くらい待ち合わせしてる人達がいる。私もその人達の仲間に入る。誰かを待っている魅力的な私。誰を待ってるの? 私、誰を待ってるの? 金曜日で夜は始まったばかり。男が立ち止る。トレンチコートの男。 「今、何時ですか?」 レオナは和光ビルを見上げる。男も一緒になって見上げる。和光の前で時間を聞くってどういう馬鹿? って思ってその人の顔を見る。クラーク・ゲーブル級の頬笑み。 「そうじゃなくって、君、誰のこと待ってるの?」 なんて言っていいのか。とりあえず黙る。よくハーフか? って聞かれるから、日本語が分からない振りをする作戦。 そしたらまずいことに、あっちは英語で応戦してくる。 「Excuse me. Who are you waiting for?(誰のこと待ってるの?)」 「……ここにいると、いいことがありそうだな、って」 ほんとのこと言っちゃって、恥ずかしくて、男はレオナに腕を差し出して、私はそれにつかまって、腕を組んで少し歩いて、知らない人なのに変で、あのブティックに戻って、夜汽車はまだボタンの上にいて、くるくるして、窓がさっきよりもっと金色で、元気な汽笛がいっぱい鳴って、みんなが歓声をあげてレオナ達に手を振ってくれる。 (了)
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