• 異世界ファンタジー

「スパイ勇者バレまくる」のあとがき

 やあ、諸君。
 私はサンブリング学園の教頭である。

 そう、教頭先生だ。

 一章でいわくありげに名前だけ出され、そののち一度として登場の機会を与えられなかった哀れな教頭先生である。

 とはいえ忘れている読者も多いであろう。
 なんていったって一章第8話の公開日は2024年10月であるので、当時から律儀にも更新を追っていた人族(がいるのであれば)はこんな些細な記述は忘却の彼方であるはず。一気読みしている場合は覚えているかもしれない。

 作者である訳者ヒロトは生意気にも「未回収の伏線もどきをあとがきでひっぱり出すなんて恥ずかしい!」と生意気にも私の登場を拒んだのだが、魔法で二度と口をきけない体にしてやった。
 恨むのであればきれいに伏線を回収できない己の未熟さを恨むがいい。ハッハッハッ。

 ちなみにいうと、私より触れられる機会が多かった「天才的生物学教授」は解雇した。

 彼は二章の第9話、三章の4話でその存在が示唆されるわけであり、「教頭の二倍も描かれているのであって、したがってあとがきを書くに相応しいのはこのあてぃくしよ!」などと激しく主張したため、教頭権限でクビを切った。

 さて、話を変えて。
 私がいかにこの学園を私物化し、教員職員を女性多めかつ顔採用し、制服のスカートの丈を短く変更するために心を砕いてきたかについて、知られざる並々ならぬ努力があったのである。

 そもそも私は教頭であり、よって目の上のたんこぶ校長先生もおり、さらにはたんこぶの上のたんこぶ理事長閣下までおり、そうやりたい放題できる立場ではないのだ。

 しかしながら私は下心を下着の下に隠し、威厳ある教頭先生の皮をかぶることによって――

 む?
 なに?
 それはどうでもいい?

 分かった分かった、喋れなくなったからといってジェスチャーですべてを伝えようとするのはやめたまえ。滑稽だぞ。

 さて、低俗なる人族から内容変更の要請があったために、少しだけ軌道を修正しよう。

 えー、愚昧なる人族の読者諸君。

 作者に代わり、感謝申し上げる。
  
 このようなランキングに乗らない小説、電子の底に埋没した小説を探し出し、拾い上げ、最後まで読み切り、さらにはあとがきにまで目を通す人がいるというのは、まさに奇跡であろう。

 ページビューが1増えるだけで小躍りしたくなる、というのは富・名声・力すべてを握る私には理解できぬ感覚であるが、卑小なる人族にはそういうこともあるのかもしれぬ。

 さらにいえば、何か反応を残してくれたり、更新をリアルタイムで追いかけてくれたりというのは、作者にしてみれば「魔法をかけられたような気分」とのことである。まったく大袈裟だ。

 さらにさらに、海を越えて遠くの人族が読んでいるというのも、ひっくり返るほどの驚きとともに感謝一杯であるそうな。

 そして。
 私はこの長い生涯、様々な書を読んできたが、率直にいって、この小説はまだまだ粗が多いといえよう。

 文も稚拙で、人物の魅力を十全に伝えることができておらず、ストーリーも描き方でもっと面白くできたはずなのに。

 私が綴った方が遥かに面白くなること、議論の余地はない。
 もっともその場合は「ビバ! 魔族学園教頭先生のバレてはいけないセクハラ奮闘記!」という題に変えてしまうが……。

 一つ事実をお伝えしよう。
 正しくは訳者ヒロトは作者ではない。
 訳者ヒロトは翻訳者である。
 名が表すように。

 つまり、私が時空間魔法を用いて彼の部屋に降臨し、歴史書を渡したらば、彼が魔族共通語を日本語に訳した、というわけだ。

 しかし、出来上がったのがこんなお粗末なものだとは……。まったく、私としたことが、契約する相手を間違えてしまったのかもしれない。

 ともかく、未熟な彼は、訳者としても作者としても活動を続けていくつもりであるようだし、もしも暇があるならば、応援してくれたまえ。

 具体的には、この作品に☆をつけ、訳者ヒロトをフォローし新作を待ち、ついでにあらゆるSNSで私への信仰心を発信したまえ。

 それが私の魔力となる。

 では、矮小なる人族諸君。
 さらば!


▼△▼


 どうも、訳者ヒロト(おちんちんびんびん丸)でございます。

 ふう、口はきけなくてもタイピングはできるようで、助かりました……。

 教頭に代わり、彼の非礼を伏してお詫びいたします。大変失礼いたしました。きつく言っておきますので何卒ご容赦くださいませ。

 私からは短めに。

 続きについて。

 まだ解決してない問題があるけど?
 と思ってらっしゃる読者の方もいるかもですが、少なくとも今は、続きを書くつもりはありません。

 蛇足であろうという思いもありますし、ここから先はエディの個人的な戦いの範囲を超えて群像劇的戦記モノになってしまいそうなので。

 そういう重厚な超大編に挑戦してみたいという気持ちもなくはないのですが、今の私には難しそうなので、もっと修行を積んでから、です。

 新作の紹介をば。
「孤高の毒姫様と付き合うフリをすることになったけど、僕にだけすごくデレてくる」
 ラノベ一冊分くらいの学園ラブコメでございます。
 本作よりずっとコミカル。
 タイトルは非常にありきたりですが、面白いものが書けたと思ってます。
 ぜひ読んでね。

 では、結びに、一番大事なことを。
 読んでくれてありがとう!
 またどこかで!

2件のコメント

  • *using translator
    もっとタグを増やしたり小説のラベルを詳細に設定すれば、作品がより多くの人に見つかりやすくなるかもしれません。いずれにせよ、これは素晴らしい物語です。多くの人に知られずにいるなんて、本当にもったいないことです。
  • MeMereMortalさんへ

    コメントありがとうございます! そんなふうに言っていただけてとても嬉しいです。タグなどは少し見直すつもりです。
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