書籍発売記念SS『愛してるゲーム』
「ふっふっふっふ……」
聞いてしまった‥…。
流行に疎い私が、流行というものをリサーチして、ついに聞いてしまったぞ……!!
「ふっふっふっふ……はーっはっはっは!!」
「うるさい」
「あぅっ」
バシンッ、と乾いた音と共に、右側頭部に衝撃が走る。
先生の教科書ハリセンが今日も良い感じにクリティカルヒットして、私はヒリヒリとする患部をさすりながら、先生を見上げる。
「痛いですよぉ先生~っ」
「君が不気味な笑い声を出すからだろう」
「不気味って……ちょっと悪だくみ──ごほんっ、いいこと思いついただけじゃないですかぁ……」
「……」
先生のアイスブルーの瞳がじっとりと細められる。
あ、だめだ、ゆっくりしてたら確信突かれるやつだ。
そう思った私は、すぐに本題を持ち出すことにした。
「先生、私とゲームをしましょう!!」
「却下だ」
「早っ!!」
「どうせ何かよからぬことでも企んでいるんだろう」
「うっ……」
既にバレている……だと……!?
いいや、今回ばかりは引くわけにはいかない!!
「先生っ!! 私と、『愛してるゲーム』してくだ──」
「却下」
「早すぎますってば!!」
せめて最後まだ言わせてほしい。
「だいたい、何だそのうさんくさそうなゲームは……」
「うさんくさくないですっ!! 交互に『愛してる』って言って、先に照れた方が負けっていう、なんともデンジャラスでムーディなゲームで──」
「くだらん」
「ぐはぁっ!!」
今日の先生、切れ味が良すぎんか‥…?
先生は眉間に皺を寄せ大きくため息をつくと、淹れたてのコーヒーを一口飲んでからまた息をついた。
「私がそのゲームをすることはない」
「えぇー……」
「そういうことは、自分の言葉で伝えられた方が良い、だろう?」
「~~~~~~~~っ!?」
何気なく発せられたらしいその心臓に悪い発言に、一瞬言葉を失った。
なんだこの破壊力。
まるでエコーでもかかっているかのように耳の中で何度も共鳴させてから、私ははっと意識を現実に引き戻した。
「わかりました!! 私は私の言葉で、これからも愛を伝え続けますからね!! 愛してます!! 先生ッ!!!!」
「……」
今日も明日も明後日も、書籍化しても!!
私の先生への愛は不滅です!!