久火天十真

喫煙室で煙草を吸う僕。 慣れない煙草にむせながら、その匂いと煙に在りし日の夏の想い出を思い出す。 蝉の声が響く部屋でのおじさんの言葉を。

病床に寝込む彼が桜を見たいと言った。 思い出の、幸せを確かに噛み締めながら見ていたあの夜桜を。 もう長くはない、それでも確かに遠い冬の夜。 私と彼の人生の最後の一幕。

幸せを願う。 大切な人を忘れようとも、ただその思いだけを抱いて生きていく、生きていた人たちのその一幕、一瞬を。

幸せの形ってどんなだと思いますか。 幸せと不幸のどちらかが入った箱を開いた男の人生のお話。

『本当に、どうしようもない、ただの弱虫の戯言、与太話だよ』 2025年夏、高校生のユウタに前世の記憶が夢の中で蘇る。 ユウタは前世でも"ユウタ"という名前で、2009年の夏、2…

小説家の男は、自分の中から想像力が枯渇したことに苦悩し、筆が折れかけている中、突如謎の手紙が届く。その手紙を理由にかつて見た夏へと逃亡していく。

２人の青年が夏の公園で語り合う。そうして自身の在り方、どうありたいかについて話していくうちに、青年「俺」はある後悔を語り始めた。 主体が切り替わったり、曖昧な表現で、夏の幻のよ…

年越しを前に一人、男が過去を振り返りながら歩く話。

初日の出を見に来た青年が、暗闇で顔の見えない女性と初日の出に臨む話。