やらかした。
やらかしてた。
僕は生まれてから今日まで、午後一時の事を午後十三時と言葉や文字にしてきました。気取ってる訳でなく、それが普通だと思っていた。
でも、それは大きな間違いだった。
午後十三時は存在しない。午後十三時だけじゃない。そこから先の午後二十三時まで、一日二十四時間の時の中には存在しない。
過去を振り返ると、そこには存在しない時間へ赴く過去の僕がいた。【存在しない道】をあたまかも【存在している道】のように歩く。呼び止めようとしても、最早手遅れ。
多くの過去を失った僕の前に、砕かれて歪な鏡が現れた。破壊から逃れられたガラスはあるものの、これでは自分を写す鏡としても、自分の過去を視る事も出来ない。
失意の底で、好奇心が呟く「欠けた月は何処へ?」と。
隣を見ると、僕がいた。僕と同じように砕けた鏡の前で佇んでいる。
しかし、砕かれた部分が違う。僕が右目を潰し、彼が左目を潰すと、鏡は元の姿に戻った。
僕は疑問に思った。常識と非常識において、僕はどちら側で、彼はどちら側だったのだろうか。鏡を砕いたのは僕なのか彼なのか。僕は彼なのか、彼は僕なのか。本物か偽物か。
午後十三時~午後二十三時は存在しない。
存在しない時間が存在していた。
だが、もう認識する事は出来ないだろう。
僕が一日二十四時間の枠組みにいる内は。
マジか……。