うむむむむむ。
ソダシが、ううん、なんかソダシは来そうな気がしない。
いえ。根拠はないのですよ。
でも三着とか四着くらいにおさまりそうな気がしてくる。
とはいえ。
いつものノリで
「『ルージュ』と『ムスメ』の赤い糸で――」
とかダジャレ予想で馬券を買おうとするとどうしても
「いや今年のオークス『ソダシ』抜きとか買ったら後で思い出した時に、凄い勿体ない感じならないだろうか? やはり『ソダシのいるオークス』を体験すべきではないか? 競馬史の中に自分を置くべきではないか?」
とかイベント重視なゴーストがささやき。しかしそうかと思えば
「『応援馬券で単勝ソダシ』とか賭け事をやるというのに握手券つきCDをかっているようなことをやっていていいのだろうか?
ギャンブルとは節度と自制を両輪とし勝ちへの執念を燃料とする。これはとても燃費が悪い上に、ハンドルとブレーキが操作しにくい車だ。
気をそらせた瞬間に目的地を――馬券を買うことの意義を見失う」
とか浅田次郎の『競馬どんぶり』を手にしたちょっとぽっちゃりで眼鏡をかけた芸人風のゴーストがささやく。
――そうとも。
そもそも相手は蹄だから握手なんてできないのだ。
これでは握手をするためにCDを買った過去の自分に申し訳が立たない。
ああ、ソダシ。
名前がサンスクリット由来というだけで追っかけてきたというのに、ここへきて、変なジレンマにとらわれて彼女の強さを信じきれない。
信じきれないから馬券を買えない。
もう気分的にはケガとかしないで無事に走ってくれさえすればいい。
牝馬三冠とかいってもいわば「新人賞」なんだから、坂路をいっぱい走って、ちゃんと頑丈にそだって、来年も再来年も元気に走ってほしい。
へたに二冠とったら年末の有馬まで無理して走ることになる。
それで怪我でもしたらもともこもない。
おねがいだからケガとかしないで元気に走り終えて。