~天音さん宅に届いた虹色の手紙が事件のカギか~
◆カメムシの森通信
昨夜未明、天音さんが、謎の「虹色の手紙」により、カメムシさんの森へ召喚されていたことが分かった。
関係者によると、天音さんが帰宅した際、自宅のテーブルに七色に輝く一通の手紙が置かれていたという。
開封した瞬間、周囲がまばゆい光に包まれ、その直後、天音さんの姿は忽然と消えた。
取材に対し、
「なんか……へんなにおいがしました。気づいたら、涙目で森に立っていました」と語る天音さん。
辺りを見わたしていると、子どもたちがやってきて、「こっちだよ」と手を引かれた先には、『天音空さん投稿一周年おめでとう!』という看板が掲げられたステージが見えたという。
そして、事情を理解する間もなく、ステージへ案内され、盛大な祝賀式典の幕が開いた。
会場には森中の仲間たちが集まり、あちこちで涙をぬぐう者、一部では鼻を押さえる姿もあったという。
「こんなに歓迎されているとは思いもよりませんでした。とても嬉しいです」と涙目をそっと緑色のハンカチで拭いながら語る天音さん。
◆祝辞
森の代表・カメムシさん。
「一周年おめでとうございます!ぼくたちの物語を生んでくれてありがとうございます!ぼくは今日も元気!」
元気すぎる声量で祝辞。
会場からは大きな拍手。空気が一瞬だけ“ぷぅん”と揺れたが式典への影響はなかった。
七福神代表・弁財天様。
「空さん、一周年ほんまにおめでとうさんどす。空さんの言ノ葉は湖にひろがる音色みたいに、そっと心を震わせますぇ」
美しい祝辞のあと、右ほほへそっと祝福のキス。
天音さんは後の取材で、「……本当に綺麗な人でした。正直、一番記憶に残っています」と、即答した。
演奏家のニシダーさん。
涙目で「うぐっ……ご合格……」
なお、何に合格したのかは最後まで判明していない。
投稿作品代表・坂口真一様(あなたは誰ですか?)
「天音空さん、投稿一周年おめでとうございます!これからも笑顔とやさしさをいっぱい降り注いでください。そして、いつまでもお元気で。」
なお編集部の取材に対し、森の仲間たちは、「……いや、あなた誰ですか?」と首をかしげていた。現在調査中である。
動物界代表・カラス(パンツ2回も盗まれたんや!)
「パンツ定期購入契約させていただきました」
そんなに、パンツいらんて・・・
編集部では、余ったパンツを誰が引き取るのか議論が続いている。
人間界代表・おっさん(パンツ2回も盗まれたんや!)
「あぁ……今日もMか」
いや、あんたのパンツなんて知らんがな。
なお、当編集部はパンツの所有権については把握していない。
【ワシ、シリーズ】代表・ワシ様。
「天音空、一周年おめでとさん。あんたの日常おかしすぎやろ。何が起こっとんねん。でも、作品すきやで」
天音さんは照れ笑いを浮かべ、「ありがとうございます。日々精進します」と応じた。
◆天音空さん、感謝の言葉
天音さんは最後にこう述べた。
「2026年7月1日で投稿一周年を迎えます。ここまで書き続けられたのは、読者の皆さま、森の仲間、作品の登場人物たちのおかげです。これからも出会いを大切にし、誰もが笑顔になれる作品を書いていけたらと思っています。本日は近況ノートにお立ち寄り頂きまして、心より感謝申し上げます」
会場ではカチさん差し入れによる紅白のお餅が振る舞われ、多くの来場者が舌鼓。
天音さんは夜空いっぱいに広がる星を見上げ、やさしい風に包まれた。
やがて夜明けとともに視界が白くなり、自室のベッドで目を覚ましたという。
鼻先をこすった瞬間——
ぷぅん……
「ひぅやあー!」
と叫び、ベッドから転落。右手には七色に光る紙片が残されていた。
天音さんは静かに笑い、「夢やなかったんや。おおきに、カメムシさん」と呟いたという。
◆余録
編集部では今回の出来事を「森の祝祭現象」と仮称している。
現象の発生原因はいまだ不明であるが、関係者全員の証言は驚くほど一致している。
また、現場で確認された「不思議なにおい」は、専門家の見解によればカメムシさん由来である可能性が極めて高い見解である。
なお編集部記者も現地取材を試みたが、森への入口は最後まで見つからなかった。
ただし帰宅後、机の上に虹色の封筒が一通置かれていたことだけは報告しておく。
編集部では現在、封筒を開封するべきかどうか会議を開いている。
◆お知らせ
本日20時台、新作現代ドラマ『世界にたった一つのはな』投稿予定。
《あらすじ》
看護師として患者の命に寄り添いながら、自身も病と闘い続けた彩花。
彼女が最期まで願ったものは、家族の笑顔と娘たちの未来だった——
※編集部もハンカチ持参を推奨。
◆森の天気
晴れのち拍手
降水確率 20%
幸福度 100%
笑顔指数 120%
◆編集後記
新聞は、一日で古くなる。
けれど、人との出会い、作品との出会い、心が動いた一日は、何年たっても色あせない。
天音空さん。投稿一周年、本当におめでとうございます。
これからも、森のみんなと一緒にたくさんの笑顔を届けてください。
※編集部記者は現在も虹色の封筒の処遇について悩んでいます。
開封した場合、次号が休刊になる可能性があります。
(なお、この新聞を読んだ数名の読者から「虹色の封筒を見た」との情報が編集部へ寄せられている。)
(2026年7月1日 天音新聞・朝刊)