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あなたはバタフライエフェクトを知っていますか?
知っている方もいるかもしれませんが、一応説明させてもらいますね。
バタフライエフェクトとは、ブラジルの蝶が羽ばたくと竜巻が起こるというのが元らしいです。
最初はほんの小さな出来事でも、どんどん大きくなり、最終的には想像もつかない大きなことになる。
人は気づかないうちに殺してしまっています。
あなたが歩き出せばその下にいる虫を、殺すかもしれない。
その殺してしまった虫をあなたはどう思いますか?
あ〜申し訳ないと思いますか?
違いますよね。
私は思うんです、殺してしまっているのに謝りもしない、なんなら何も感じない。
おかしい。
人は殺す覚悟を持って生きるべきなんです。
あなたが足を動かす。
あなたが耳で聞く。
あなたが口で話す。
あなたが目で見る。
全ての動作によって何かが死ぬ、何かを殺してしまう。
その覚悟をあなたは持っていますか?
殺す覚悟がない人間は死ぬべきなんです。
自分は殺したとき謝ったり何かを感じたりしないくせに、自分が謝られなかったり気にもされなかったら不満を持つ。
矛盾しているんですよ。
そんなわがままな人に殺されるなんてありえない。
皆さんが被害に遭う前に私は殺すことにしました。
なので、安心してください。
もう、殺す覚悟のないやつに殺されることはないんですから。
あなたはちゃんと持ってますよね。
殺す覚悟を。
殺す
「うわ、これはひどいな。」
「ですよね、こんな死に方自分はしたくありません。」
「おい、仏様の前で失礼だぞ。」
「あ、すみません。」
後輩が死体の前で手を合わせている。
それに続いて、手を合わせた。
「にしても、誰がこんなことを…。」
「それを見つけるのが俺らの仕事だろ?」
「そうですね。」
「大井さん。」
「あ、高峰さん、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。」
「どうですか?何か分かりましたか?」
「それがあまり掴めてなくて…、今わかっていることは首から上がひどく損傷していること、腹部にも数カ所殴られた跡があること。」
「先輩、今回の事件なんか匂いません?」
「なにが?」
「いや〜、殺すだけで良いのにわざわざ頭を潰して腹部を何回も殴る、強い恨みを感じますよね。」
「確かにな、俺もそれを考えていたところだ。」
「あと、被害者の手に握ってあった手紙?みたいなものがあって。」
「手紙、ですか。」
「2枚ありまして、一つは彼が握っていたもの、もう一つはあそこの机の上に置かれていました。」
そういいながら、指を差した方向にあった机は学校でしか見たことのないものだった。
部屋の大きさは6畳ぐらいで窓が一つあり、玄関を開けたすぐ先にトイレとお風呂場がある、窓のすぐ下にベット、その横に本棚。
その中で異質な存在感を放っているこの机は妙に綺麗だった。
血の一つも付いていない。
「なんか、綺麗ですね。」
「はい?」
「いや〜、周りのものはこんなに血で汚れているのにこの机だけは何も付いてませんね。」
「犯人が外部から持ってきたんですかね。」
「何のために……。」
「ちょっと、手紙を見せてもらってもいいですか?」
「はい、分かりました。」
握られていた手紙はハリセンみたいに縦に折り目がついており、くしゃくしゃになっていた。
内容はこう書かれていた。
あなたは○○覚悟がありますか?
ない場合は家にいてください。
ある場合は○○○公園に来てください。
家にいる場合は私が○○しに行くので、
逃げた場合も通報した場合もそうなるので、それでは。
「血で読めない部分が多いですね。」
「そうですね、もう1枚のほうは我々宛なのかもしれません。」
「なぜです?」
「読めば分かると思います。」
2枚は血が1つも付いてなかった。
一枚目よりも字は太かった。
警察の皆さん読んでいますか?
私が犯人です。
彼はなかったので殺しました。
あともう少し人が死ぬと思うので、頑張ってください。
1つ質問です、まぁ返事は私が捕まらないと聞けないんですけど。
もし自分の大切な人が殺されそうなとき、あなたは発砲許可が降りてなくても撃ちますか?
それでは。
「なんだこれ。」
「犯罪予告なのか、なんとも言えませんが手掛かりとしては特に重要だと思います。」
「じゃあ、私たちは身辺調査をしてきますので。」
「こちらも何か見つかったら連絡します。」
「はい〜、失礼します。」
俺達は事件現場を後にした。
「先輩はどう思いますか?今回の事件。」
「う〜ん、あんな殺し方するくらいだし、何か被害者に強い恨みを持っていることぐらいしか分からないな。」
「ですよね、今回の事件、難航しそうです。」
「だな。」
「こちら警視庁本部。住宅街で殺人事件発生。直ちに応援に向かってください。」
「こちら大井、直ちに向かいます。」
「またですか先輩。」
「今夜は、騒がしくなりそうだな。」
車を走らせ事件現場へと向かった。
「通してください、通してください。」
人だかりができ、現場へ向かうだけで体力を持っていかれる。
「またか。」
「先輩これは……。」
頭を潰された女性が横たわっている。
そして部屋の隅にまたあの机があった。
「被害者はこの部屋に住んでいる増田さん23歳。」
「通報したのはここの大家で、着いた時にはすでにこの状態だったそうです。」
「笠原、さっきの被害者の年齢は?」
「確か、23でした。」
「だよな、これは何かあるぞ。」
「何か見つかりましたか?」
「ポストの中にこの紙が、そして机の上にもう一つ。」
「見せてください。」
「こちらです。」
あなたは殺す〇〇がありま〇〇?
ない場合は家に〇〇してください。
ある場合は大神中学校に来てください。
家にいる場合は私が殺しに〇〇ます。
逃げた場合も通報した場合もそうなるので、それでは。
「大神中学校ってここらへんでしたよね。
ああ、そうだな。」
「二枚目も見せてもらってもいいです?」
「はい。」
まただ、さっきは気にならなかったが字が太いし汚い、急いで書いたときのような。
警察の皆さんこんばんは。
言いましたよねまた死ぬって。
まぁ言っただけで防げるかは別ですが、
また1つ質問です、いや2つ目かな?
もし、あなたが罪を犯したとき、逃げ道があった場合逃げますか?それとも償いますか?
それでは。
「先輩、いよいよやばいですよ。これ以上死人が出たら……。」
「そうだな、笠原行くぞ。」
「どこに…?」
「大神中学だ。」
俺達は大神中学に向かった。
ハンドルから手を離すたびに汗の跡がついている。
心臓が大きく鳴り、いつもより周りの景色がよく見える。
隣の笠原は前を向いているが、目の黒い部分が小さくなっている。
顔には汗をかいていないのに服が背中に張り付いて離れない。
「笠原、今までとは比べものにならない事件だ。」
「先輩、僕初めてなんです、こんなに背中が冷たいの。」
「もうすぐでつく、気をしっかりな。」
「はい。」
裏門の前に車を停め、インターホンを押した。
「すみません。」
「…………。」
「来たんですね、警察の皆さん。」
「お前……、何が目的だ。」
「私は別に神気取りとかそういうのじゃないんですよ。
私は私の死に方を選ぶためにやってるだけなので。
人生は後悔しないように生きないと。
人生で何か残すなんて無理なんですよ。
いつかそれは超えられるし忘れ去られる。
「何が言いたいんだ。」
「一つ言います、私の邪魔をする人は殺される覚悟があるってことでいいですよね。
あなた方も邪魔をするなら……。」
ガチャ。
「先輩、ドアがあきました。」
「一年五組に爆弾を仕掛けました。
選んでください、一年五組に行くか、私を捕まえに行くか。」
「笠原、お前は犯人を捕まえに行け、俺は一年五組に行く。」
「なんでですか先輩、もし何もなくて逃げるための嘘だったら。」
「笠原、俺を信じろ、大丈夫だ、お前も俺も警察官だ。」
「わかりました、頼みますよ。」
「おう。」
笠原の足音が遠のいて行く。
階段を駆け上がり、三階にある一年五組に向かった。
上がった先、廊下の奥に人影が見える。
「警察さん早く来ないと爆弾解除できないよ〜。」
「舐めやがって、待て!」
人影が教室に入り、後を追うように教室に入った。
「警察さん落ち着いて?今からなんだから。」
「なんなんだお前は。」
「黙れ、お前が喋っていい立場じゃないことぐらいわかるだろ、警察さん?
今からゲームをしよう、テレビに映ってるの、誰か分かる?」
「笠原…。」
「そう、あなたの後輩の笠原くんでーす。
本当はここには爆弾がなくて、笠原くんがいる従業員室に爆弾があります。
私、紙に書きましたよね?
1つ目の質問もし自分の大切な人が殺されそうなとき、あなたは発砲許可が降りてなくても撃ちますか?
あなたの答えを教えてもらってもいいですか?」
「俺は、撃つ。」
「おぉ期待通りですあなたならそう答えてくれると思いましたよ。
さぁ、じゃあ笠原さんにも同じ質問をします。
一緒だったら大成功、爆発しません。
でも?違った答えであれば?
言わなくてもわかりますね?」
「笠原さ〜ん。」
「なんだ、どっから声出してんだ。」
「あなたに1つ質問です、もし自分の大切な人が殺されそうなとき、あなたは発砲許可が降りてなくても撃ちますか?」
「誰が答えるかよ。」
「あ?お前立場わかってる?笠原さんは先輩に似てるんですね、お前は、今、置かれてる立場を考えて、答えるだけでいいんだよ。」
「早く答えろよ、笠原。」
「俺はそうだな。」
「撃つ。」
「お!ほんとにそっくりさんですねぇ双子なんじゃないんですか?2人は。」
「答えは同じだったろ、大人しく捕まれ。」
「いやぁ?捕まるなんか言ってないですよ?」
「は?」
ボーン。
横から光が差し込む。
「私、言いましたよね、従業員室の爆弾は爆発しないって、その下の教室が爆発したみたいですね。」
「笠原…、笠原、くっそ。」
「早く行ってあげたほうがいいんじゃないんですか?私は逃げときますし。」
「お前、次あったら、殺す。」
「いいですねぇその目、その顔、あなたは生きる資格がある、それでは。」
そう言うと、教室の窓から犯人は飛び降りた。
「大神中学で火災発生、応援至急お願いします。」
教室を出て、従業員室に向かった。
窓から見える半壊した学校。
赤い火がどんどん学校を飲み込んで行く。
焦げ臭い匂いが鼻の奥を刺激した。
階段を降り、一階に着いた時には火が階段の目の前まで来ていた。
「笠原、笠原…。」
火が廊下を飲み込んで行く。
足は前に出たがっている、でも頭がそれを拒む。
「俺は、後輩一人すら…。」
ピーポーピーポー。
「大井さんあなたは悪くない、笠原さんが死んだのは残念です。」
なんで笠原なんだ、なんで笠原が死ななきゃいけないんだ。
俺が行けば。
そうだな、だめだよな笠原、でもな、もう無理だ、あいつを、殺す。