【注意】
この記事には第3章10~15話のネタバレが含まれます。
閲覧の際はご注意ください。
日頃は拙作を応援していただきありがとうございます。
第3章もほぼラストに差し掛かった『終わらぬ世界の仇世主』ですが、お楽しみいただけていれば幸いです。
さて、第3章では新たな敵として聖絶騎士団の団長、ラスター・ヴェリサスが登場しています。
彼はソテルの剣という概念の体現であり、エレミアには決して乗り越えられない壁であり、世界が〈永遠〉を受け入れた先の結末を暗示するようなキャラクターでもありました。
作中ではソテルという巨大な機構、あるいは光帝という超越者の意思に善悪正邪の判断を委ねた人物として描かれ、人間味の極めて薄い人物だった彼ですが、実は最初からこうだったわけではありません。
かつての彼は、現在とは違う名を名乗っていました。
強さと優しさを兼ね備え、敬虔な信徒であるとともに、皆が救われることを願う人間だったといいます。
その慈悲は、時として異教徒にすら向けられるもので、ある意味、以前の彼はエレミアの思い描く理想の聖職者像を体現していたと言えるかもしれません。
もし当時の彼とエレミアが出会っていれば、エレミアは彼にも師としての姿を見出していたことでしょう。
しかし、運命とは分からないもの。彼はいわゆる「何かあった」結果、徐々に人間性を放棄していき、ソテルの道具であることだけを追求する人物へと変化しました。
寛容と慈悲の心を捨て去り、神と光帝の御心という、個人の力を超越した大いなる力への服従を選択していったのです。
やがて彼は古い名を捨ててラスター・ヴェリサスを名乗り、七十七聖剣に選ばれて聖絶騎士に任ぜられました。
もはや過去の面影は微塵もなく、ソテルの意思を執行するだけの道具――ソテルの剣と成り果てたのです。
今から五十年ほど前の出来事でした。
ところで、人間味があったころの彼には、一人だけですが弟子と呼べる者がいたようです。
正義感と万人への慈悲に溢れ、ラスターをして自身を凌ぐと断言するほどの武才を持つ人物でした。
かつてのラスターから心技体において薫陶を受けた〝彼女〟が、今後の物語に登場することもあるかもしれませんね。
もっともその場合、フィーネたちは師の仇ということになるわけですが…。