「じゃんっ!トラブルらぼたっ!」
無事に完結しましたっ!
興味はちょっとだけあるけどめんどくせー方に、ラストまでのお話を公開しちゃいます。
これだけ読めば、本文なんか見る必要なし!
田中莫太はいじめられっ子。
気を紛らわすためにふと出向いたスクラップ置き場で、銀色のロボットみたいな外観をした栗色髪の少女と出会います。
少女は莫太へと尋ねます。
「田中さんの家はどこですか」
実は彼女、失踪した莫太の祖父が作った高性能ロボットだったのです。
名前はラボタ。
博士が見つかるまで家事手伝いとして田中家で暮らすことになりました。
莫太たちと過ごす中、いじめ問題に独特の関わり方をするなどしてラボタは世の中を学んでいきます。
遊びに行ったロボット博物館での、我葉館長との出会いや、ディアベルという謎のロボットとの戦いなどで、ラボタは見識を広げ、経験を積んでいきます。
みんなで銭湯に行ったりなどして、ラボタは世界を楽しみます。
田中家で飼う愛犬ピコ彦の死は、ラボタに衝撃を与えました。
ロボットの方が便利、偉い、と生死観に関しては多少の上から目線であったラボタでしたが、その生命の儚さに、愛おしいと思うようになったのです。
生命に対して、秘かなあこがれを抱くようになったのです。
また、この刺激はラボタの中に眠る「シンギュラリティ」という精神の人間化を促進しました。
彼女は、より人間に近い心を持つようになったのです。
ディアベルとの戦いの裏にロボット博物館が関わっていることを知ったラボタは、館長のもとを訪ねます。
そこで聞かされるのは、館長と田中博士の過去、そしてラボタ自身の過去でした。
和解する館長とラボタですが、直後に悲劇が起こります。
館長の妻であるロボットが、操られて彼を殺害したのです(後に一命を取り留めたことが分かりますが)。
真の黒幕たる企業による、口封じでした。
企業の社長、世木菅孝はラボタにも魔の手を伸ばします。
田中家を取り囲み、脅しをかけるのです。
目的は、ラボタのシンギュラリティを促進させるために他なりません。
襲撃は、インターポールの刑事ダニエルによって阻止されますが、ラボタの怒りはおさまりません。
「すべてをぶっ壊してやる」
単身で、世木社長の会社へと乗り込むのです。
ラボタは、世木社長の差し向けるロボット群をなんなく打ち倒し、建物の中に入ります。
そこでラボタがしようとしたこと、それはAIジェミニの破壊でした。
亡くなっていた田中博士そっくりにつくった人工知能ジェミニ。
ラボタにとって気持ちの安らぐものであったけれど、存在していると本物の田中博士の存在意義が揺らぎ、つまりは彼の魂が天国へ行けないと思ったのです。
阻止しようと世木社長は、ラボタの体内に埋め込んであった爆弾を爆発させます。
壊れたラボタは、それでも動作を止めず、AIジェミニを破壊します。
会社のこれまでの悪事を世に晒されると恐怖した世木社長は、今度は建物を爆破し、ロボット群を暴れさせ、証拠隠蔽に走ります。
そんな中、制御を失ったロボットが世木社長を襲います。
彼もまた社員たちに裏切られていたのです。
内部を爆破されてまともに動けないラボタが、なんとか世木社長を守ります。
ラボタが訪れた本当の目的は、AIジェミニを破壊することではありませんでした。
悪い人である世木社長をやっつけることでもありません。
ロボットを愛さない世木社長の心、それは人間も愛さないということであり、そんな彼の気持ちをこそラボタは破壊したかったのです。
世木社長は逃げ出して、動けないラボタは一人残ります。
もう動けないし、どのみちもうすべきことがなかったからです。
地上にいる警察たち、人間たちのもつ生命のキラキラを羨ましげに見つめながら、建物が大きく爆発してラボタは闇の中へと落ちていきます。
夢を見ながら。
夢の中でのみ救われながら。
八十代の老人に生命の大切さを教えたラボタですが、果たして彼に伝わったのでしょうか。
それは分かりません。
分かっていることはただ一つ。
ラボタは、ピノキオにはなれなかったということです。