小説を描き始めて10年以上……。別に人気があるわけでもない僕ですが、自分の考えをなんとなく書きたくなったので書いてみようと思います。
この話は人気の出る書き方でもなければ、主流な描き方でもないと思います。もしかしたら初心者の方には参考になる場合があるかも……? と思ったりします。
(読んでいる相手)
基本的に小説を読んでいるのは人間ということだと思います。何を言ってるのかと思われると思いますが、宇宙人が読んでいるわけでもなければ猫やわんちゃんが読んでいるわけでもないということですね。
そして基本的に日本語で描かれている小説がほとんどのため99%の読者は日本人あるいは日本語に習熟した方になるでしょう。この場合総体的に多い日本人をベースにしておきます。
(小説を読むという行為)
小説を読むという行為を読者様はされます。私もします。では……そもそも人間というのはどうやって物語を楽しんでいるのでしょうか? 何をわけのわからんことを想われるかもしれませんが以下をご覧ください。
『ゆらめく火』
『綺麗な水』
『くまさん』
それぞれを読んだ時に脳裏にどんな「映像」がありましたでしょうか? ゆらめく火というただの文字の影を『ゆらめくひ』と読んだ時、私たちの頭の中に描かれるのはなんでしょうか?
ろうそくについた火でしょうか? あるいは焚火でしょうか? あなたの頭の中にあるその場所は暗いですか? 明るいですか?
あるいは『綺麗な水』はどんなものでしょうか。ペットボトルに入っているかもしれません、あるいは渓流の清らかな流れが『森の映像』と組み合わせって流れましたでしょうか?
『くまさん』といえば大きなくまというより、リラックマのようなかわいらしいイラストを思い浮かべていただけたかもしれません。これは『熊』と書くのではなく『くまさん』と書いて想像の幅を限定してみました。
小説を書く時の私の理想(あくまで理想) は読んでいる方の脳裏に映像として光景を描くことです。文字列自体はどうでもいいです。
そう思った時に人間が脳裏に映像を映すとはなんだろう、上記のように『ゆらめく火』と書いているだけの文字列なのになんで人は「ろうそく」だとか「たきび」だとか「部屋の明暗」を思い浮かべるのでしょうか。※私の稚拙な話で浮かべられなかった方はすみません
私は人の小説を読むという行為は過去の映像の組み合わせと過去の記憶を思い出していると考えています。
いつかみた光景、いつか考えたこと、味わったこと、聞いたこと、見たこと、感じたこと、それを文字をもとに頭に思い浮かべる行為が「本を読む」というものだと思います。いやいや見たことないことを考えたことがあるという方も、例えばどこかで見た剣や刀が空を飛ぶ鳥のように飛ぶ光景を「組み合わせて」バトルシーンを思い浮かべているのかもしれません。
先に言いましたが、小説を読んでいる方のほとんどが日本人です。私たちは違いはあれども同じ程度の経済水準で似ている文化圏で暮らしています。だからこそ小説を書くときに「この文字が何を意味するのか」ということを思い至ることの重要性があります。
例えば「夏休み」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか、スイカ、水泳、宿題、太陽、セミ、友達、部活……いろいろとあるでしょうか、少なくとも私の上げたものは理解できないものではないと思います。外国人であればなぜにセミなんだ? とか言われるかもしれません。記憶を組み合わせるといいましたが、同一の文化圏で発表する小説だからこそ、その文字が文字列以上に紐づいている様々な者があると私たちにはわかります。
言葉にはニュアンスがあります。貴様という言葉をそのまま文字通りにすれば「あなたさま」になります。貴いということと様という敬称が組み合わさったことで悪い意味には見えませんが、現代の私たちの知っているとおりこの言葉は強く、無礼さを含んでいます。
なぜでしょうか? 文字からは読み取れないはずです。それは同じ文化圏で生きてきたからこそ感じることができたことだと思います。
(頭の中の映像)
ここまで書いた通り、文字とはその僅かな表現で「描いてないこと」を伝えることができます。また、われわれの脳はかなり合理的なため、理解したことを補足することができます。
たとえば
「女の子が体操服でグラウンドを走っている。」
としたとしましょう、想像してください。女の子はどんな子ですか? またはかまいたちの夜のように影のような映像かもしれません。グラウンドはどこを走っていますか? 校舎の近くですか。遠くですか。体操服は何色ですか? どんな速度で走っていますか?
私は書いてませんがその答えは貴方の中にあるはずです。つまり一行でその舞台全部を描くことができます。しかし小説とは指向性を持つべきです。そうしないとわからないからです。
……あえて指向性という単語を使いました。この言葉自体は小説とは方向性を持って話を展開する必要があるという意味で書きました。本来的な意味ではない用法であり、指向性という言葉自体がそこまで使う言葉ではありません。小説の文体を美しくするために難しい言葉を使うというのは上に描いた脳裏の映像の精巧さを失わせることになると思います。できるだけ簡単で明瞭な意味を持つ言葉をチョイスした方が純粋に読みやすいと考えています(むろんのこと別の考えはあるでしょう)
話を戻しますが、小説というのは一部を書くだけで全体を読者が細くしてくれます。意味のない説明は省いて、作者の注目したい場所を描くことで物語に方向性をつけることができるでしょう。例えば前後の文章で「校内のマラソン大会の練習」などの情報を入れ込めば解像度はあがります。または「彼女はひいひぃいいながらよたよたと走っている」とすればその表情も彼女がどんな子なのかということにも深みが出ます。
文章は簡単でかまいませんし短くてもかまいません、無理に修飾をしなくても安心してください。読者様は想像以上に心の中に風景を描いてくれると思っています。ただ、描写不足になるほど削ってしまえば意味不明になってしまいます。
だからこそ「主語」と「述語」のみは明瞭にするべきです。誰が何をしている、という言葉の流れのみははっきりとさせなければいけません。それ以外の服装などは描きたい部分を描いて、想像力に任せてもいいかもしれません。例えば「禍々しい剣」とか、読者様まがまがしいのひとつ頭の中にたのみますよ~としたり。
さっき言った通り僕自身は人気のある作者ではありません。ただ一応は書いたものは載せておきたいなと思います。自分がかいていることがそのままできているかどうかは良かったらその目で見てくださればと思います
短編集
https://kakuyomu.jp/works/16818093073410474194