本シリーズの根幹を成す、陸海軍の決定的な決裂。それは単なる派閥争いではなく、兵器の心臓部たる「力の出どころ」に端を発しています。
――海軍:仏式「蓄徳型」霊素抽出
海軍は上海経由で、英国軍の極秘魔導兵器の情報、およびナチス親衛隊の遺産継承局『アーネンエルベ』のオカルト研究を独占的に入手しました。
彼らが着目したのは、チベット密教に伝わる『マニ車』。回転によって徳を積むこの原理を、高効率な霊素抽出装置へと転換することに成功します。
この「仏式」は、過酷な修験の時間を要するものの、一度抽出されたエネルギーは純粋で制御しやすく、霊式戦闘機の高高度における安定稼働を実現しました。
――陸軍:神式「人柱型」荒御魂憑依
対する陸軍は、ノモンハンの戦いにおけるソ連軍の鋼鉄の津波の前に、壊滅的な敗北を喫しました。迫りくる脅威に対し、海軍のような「徳を積む」悠長な時間は許されなかったのです。
即応性と破壊力のみを求めた陸軍は、戦場に漂う怨念の残穢『荒御魂』を、形代である藁人形へ強制的に封じ込める「神式」を採用。
その猛り狂う神の力を、操縦士という『人柱』の精神を触媒にして無理やり制御する――。それが本作に登場する『ヨモツイクサ』や『オニグモ』の、血塗られた正体です。
清廉なる仏の力か、禍々しき神の呪いか。
シリーズを通して描かれるこの二つの歪な力に、今後もご注目ください。