デビュー出来る日を心から願いながら、がんばる。
それは、前と同じなのだけど、2人の心は少し変わっていきます。
その日を待つだけではなく、自分たちから動きだそう、そんな気持ちになっているようです。
朝、家から少し離れたところにある、小さなお店にベーグルを買いに行った。
10人あまりの人たちが早朝にもかかわらず並んでいる。その最後尾に並ぶ。
先頭のおじさんが大量に買って、袋2つほど提げて帰って行く。その次の人も、5,6コほど買っている。そのまた次の人も。後ろに人が来ないのを見計らって、列の先頭、お店のショーケースの状況を偵察に行く。
状況は厳しい。今並んでいる人たちが、ひとりにつき2,3コずつ買ったとしても、私のところか、私の前当たりで、商品は尽きてしまいそうだ。
「私たちまで残ってそうですかね?」私の前に並んでいる人が不安そうに言う。
「どうでしょう。奥にもまだ補充分があればいいけど、店頭にあるだけやったら、絶妙に私たちの直前で尽きてしまいそうですね……」
「ああ……」
やがて、最後尾だった、私の後ろにも家族連れが並ぶ。
「まだあるかなあ」と親子で話している。
「微妙なところです」私は、思わず横から答える。
「そうなんですか。やっぱりもう少し早くきたらよかったな。大体、皆さん何時ごろから並んではるんでしょう?」
「早い人は、8時前から並んではるみたいですね」
「はあ。そうなんですね……」
そんな会話を交わしている間にも、ひとり5、6コくらいのペースで、ベーグルは売れてゆく。大きい袋を抱えた客が帰って行く。
「みんなようけ買わはるね」
後ろの親子がため息をつく。
だんだんショーケースに近いところまで列が進み、状況を把握しやすくなってくる。客と店主の会話が聞こえる。
「明太子とかチーズとか、チョコのはもうないの?」
「ないですね。今こにある分だけです。ここにあるの以外は、もう全部出ちゃいましたね」
「あら~」
そうして、客はショーケースに残っているものから、4、5コほどを選んで買っていった。その中に私がほしかった種類のものが入っていた。そしてどうやらそれは、その種類の最後の1コだったようで。
あああ。せっかく30分ほど並んだのにな。
結局、何も買わずに帰ることに。
まあ、いっか。
またそのうち、チャンスはあるだろう。
その帰り道、コンビニで、めちゃくちゃ大きなプリンを発見。
そのときに、琉生と想太の姿が頭に浮かんで、「そうや、あの子らに、このプリン食べさしたろ」と思って、59,60話にプリンが登場することになったのでした^^;