田朔のところへ、長安を離れる金貸しが訪ねてきます。
相手が持ってきたのは、貸した銭の証文の束でした。
金貸しは
「……12,000でいい」
と値を出しますが、田朔はすぐには飛びつきません。
「では、確認が終わってから払います」
と返し、まず中身を確かめる姿勢を見せます。
この時点で、田朔はもう紙切れだけを買うつもりではありません。
証文の先にある担保を見ています。
地の文では、担保に荷車8台、馬3頭、倉1棟が入っていたことが示されます。
続く場面では、借り手の男が
「6,400は今すぐ出せん」
と苦い顔を見せます。
ここで田朔は、
「借金6,400銭を全部なくします。さらに2,000銭払います。その代わり、倉、荷車8台、馬3頭を俺へ譲ってください」
と持ちかけます。
つまり、6,400銭の回収を待つより、追加で2,000銭を出して一気に担保を取るわけです。
証文を買った後は玉蓮と帳面を見直します。
玉蓮は
「12,000銭で買った証文から、最初の3件だけで7,800銭が戻った。それに今度は倉、荷車8台、馬3頭でしょう」
と話し、田朔も
「ああ」
と応じます。
この1ページ目は、田朔が借金そのものを商品として扱い始めたことを見せるページです。
相手が逃げたくて手放す証文を安く買い、その中から現金も担保も取る。
商売の形がまた一段いやらしく、そして強くなったことがよく分かります。