学生寮に住んでいた頃の寮生でとても記憶に残っている人がいます。
腰まであるボサボサの黒髪で、食事中は椅子の上にあぐらをかいて座ってました。
仙人か教祖か。どちらかと言うと尊師かな?
私と彼は、食堂で顔を合わせたときに軽く会釈をし合う程度の仲でした。
会話をしたことはありませんでしたが、なぜか食堂で顔を合わせると互いに視線を交わしていました。
──うわ、尊師と目ぇ合った。やっば、導かれそう──
──なんか鳥の巣頭のやつがこっち見てるんだけど、きも──
そのときちょうど、学生寮の管理人である寮長さんも食堂でご飯を食べていました。
このおじさんは何を思ったのか、私たちを見比べながら言ったのです。
「今ぁ二人しかおらんけん、話したりしたぁよかとに」
余計なお節介を。そう思いました。
「⋯⋯あ、いえぇ──」
なので、やんわり断ろうとした私でしたが、尊師が無言で席を立ったのです。
そしてお盆を持って私の隣に移動してきました。
二人して無言。
私は一瞬目線をやって、えへへ、と精一杯笑いかけましたが、彼は笑いませんでした。
非常に気まずい時間が流れましたが、寮長さんは満足気に微笑んでました。
「ごちそうさまでしたぁ」
そう言って去っていく寮長さんの背中を、私は恨めしく見つめました。
隣に座った尊師とは結局、その日は何も話すことはありませんでしたが、一つだけ確かに感じたことを覚えています。
──良い匂いだなぁ──
そう、甘い、花のような香りがしたということです。
尊師、お元気ですかね⋯⋯。
それはそうと後々知ったのですが、尊師の年齢は三十五歳でした!
学生ではありませんが、寮に住んでいたようです。
特に学生というわけでもないのに、10年以上寮に住み続けるロン毛の男。
というわけで彼が、私が人生で一番理解できない人です。
とあるキャラの外見は彼を想像しながら作成しました!
ぜひ、今後とも拙作をお楽しみくださいませ。
※ちなみに数日後、寮長は別件で寮を追放されました。