『ゴカイ無双』を書くために、それまで考えていた他作品のアイデアを、ほとんどこの一作へ集約してしまいました。
だから、物語を最後まで書き切った今、すぐに別の作品を作れる気がしていません。
私の作品には、共通しているものがあります。
世界が、人々を、そして一人の人間を静かに見ていること。
誰かの何気ない一言で、何かが少しだけ変わること。
物語だからといって、無理に戦わないこと。
言葉にできないまま残る想いがあること。
そして、どれだけ失敗しても、格好悪くても、それでも自分で選び続けること。
振り返れば、書きたかったものの大半を、『ゴカイ無双』の中へ入れてしまったのだと思います。
本来、いちばん書きたかった作品は『裁定の器』でした。
私はもともとSFが好きで、『裁定の器』も、なろうで連載するつもりで考えていた作品です。
けれど今は、再開を約束できません。
しばらくは『ゴカイ無双』の改稿に専念します。その後に何を書くのか、そもそも次の作品を書けるのかも、今はまだ何も考えていません。
この半年間、私生活のほとんどを『ゴカイ無双』や『0.5ぶんの世界延命』に注ぎ込んできました。
周囲の人から、
「お金にならないのに、なぜそこまでするのか」
と聞かれることも何度もありました。
意地悪ではなく、純粋な疑問としてです。
私事ですが、近しい人から呆れられ、別れを告げられる出来事もありました。
第100話あたりから作風が変わったと、自分でも感じています。
物語の中にある静けさや痛みが、それ以前より濃くなったように思います。おそらく、その時の自分に起きていたことも、少なからず文章へ反映されているのでしょう。
文字には、書いている人間の精神が、そのまま表れる。
今回、それを強く実感しました。
だから今は、最後まで書いた自分の感覚に合わせて、第1話から改稿を続けています。
書きかけのまま止まっている作品を待ってくださっている方がいましたら、申し訳ありません。
ただ、それらの作品に込めようとしていたものが消えたわけではありません。
形を変えながら、その多くは『ゴカイ無双』の中で生きています。
今はまず、8月5日まで走り続けます。
その先のことは、そこまで辿り着いた自分が、あらためて選びたいと思います。