福宮アヤメ

雨の日だけに現れる、窓際の席に座る少女。 本を読むその横顔に、少年は密かに想いを寄せていた。 けれど、図書館が閉館することを知った雨の日、彼女は姿を見せなかった。 残されたのは…

70歳を過ぎた元気なおばあちゃん・和子（かずこ）は、ある日ひ孫のために作ったお守りがきっかけで、異世界へ転移してしまう。 そこは、剣と魔法の世界。和子は戦う術もなく、ただの”お…

「夢を見た記憶があるのに、思い出せない」--言語研究者の＜私＞は、繰り返す夢の欠落に違和感を覚える。夢日記には日付だけが残され、内容は消え、やがて”書いた痕跡”そのものが失われて…

--これは、ひとりの魔王が”カツ丼”に心を奪われた日から始まる胃袋とツッコミに支配された物語。 魔界を統べる魔王・ヴァルセルグは、千年に渡る血と炎と触手の料理にーーー完全に飽…

ポストの底に差出人も宛名もない封筒が届いた日から、男の日常は静かに崩れ始めた。 幾十枚にも及ぶ手書きの便箋は、「私」でも「君」でもない”誰か”の記憶で満ちていた。 語られるのは…

亡くなった祖父の家を整理していた高校生の「春樹（はるき）」は、書斎の隠し棚から一冊の古びた日記を見つける。 そこには、「この世界とは違う場所」での体験が詳細に綴られていた--魔法…

色を操る”彩術”が世界を支配する時代。 王都を覆った無彩の呪いを解くため、少女・エイルは筆一本を手に旅に出た。彼女が訪れた灰色の村で出会ったのは、何の色も持たない少年・ロウ。 …