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ちょっと先でやろうと思っている展開の序盤サンプル……みたいなものだと思ってください。
やっぱやめたになったり、内容が同じにならない場合があります。
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とある事情で異世界……ではなく別大陸に召喚されてしまった。
ドウシテコウナッタ?
イベンナ大陸にある国で、北からやって来る魔王軍と対決せよとか召喚主は言っている。
しかも達成するまで帰ることができないとか、わかった時にはさすがにガチギレしてこの国を滅ぼしてやろうかと思ったけど、それで永遠に帰ることができないとかになったら笑えないので、とりあえず我慢。
依頼を達成して本当に帰れなかったら、ソノトキハワカッテイルヨネ? と脅したのでわかってくれているとは思うんだけどね。
ワカッテイルヨネ?
ここまで念押ししたんだからわかってくれたと信じているよ?
ともあれ、魔王がやって来るまで外で修行して来いと言われた。
そのまま逃げれるのではと思うけど、帰れないのと同じ理由で逃げることもできない。
魔王を倒して約束を果たしてもらうためにも、この国に滅びてもらっては困るので、気を付けながら修行をしないといけない。
で、やってきたのは冒険者ギルド。
中の雰囲気はそこまで知っているものと変わらない。
受付のお姉さんが出迎えてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。城より連絡は来ていますので、このまま冒険者登録をさせていただきますね」
「はい、よろしく」
「では、こちらの水晶玉に手を乗せてください」
「はい?」
「あ、ご存知ないですか? この水晶玉に触れることで、あなたの魔力を通して現在の能力を確認することができるのです。それを基準にしてギルドカードを作成します」
「へぇ」
そんなのはうちの方の冒険者ギルドにはなかったな。
ただ、格に合わせた登録証を貰えるだけだったんだけど。
もしかして、こっちの方が進んでいる?
「さあ、どうぞ」
「ああ、はい」
考え事をしながら水晶玉を触る。
あ、魔力を吸われた感触がある。
P Iーーーーーーーーーーーーっ!
「きゃあっ」
「うるさっ!」
水晶玉がP音を発するという謎の現象を起こして……沈黙した。
さっきまで普通の透明な水晶玉だったのに、いまは中が真っ黒になって煙を吹いている。
え? 機械だったん?
「こ、こんなことが……あ、結果は出るんだ。って、ええっ!」
受付のお姉さんが呆然としながら、水晶製の板みたいなものを見て、また目を剥いた。
「こ、こんなの初めてです」
「え? なに?」
「はい、あなたのステータスなのですが……」
そういや、流れで受けちゃったけど、どんなことになるんだろ?
全部表示されるのか?
他者からの【鑑定】は無意識でもだいたい弾けるんだけど、あ、そのせいで水晶玉は壊れたのか?
とか色々考えながら覗いてみる。
『名前:アキオーン・ツヴァイベル
クラス:なし
レベル:01』
名前以外、なにもわからないんだけど?
能力値とかスキルのところとか表示がグチャグチャだし。
あ、クラスってなんだ? 初めて見るな。
それにレベル。
レベル01ってなんだよ。
え? また最初から上げろって?
いやでも、あそこで暴れることができたし、弱くはなってないよな?
どうなってるんだ?
「こんなことは初めてですが……ええと、ご安心ください。私たちが全力であなたを支援しますので」
「あ、はい。どうも」
水晶玉のトラブルから抜けた受付のお姉さんは、なぜか俺を憐れみの目で見ながら応援してくれた。
「ええと、なんでそんな目で?」
「……非常に言いにくいのですが」
「はい」
「クラスはともかく、そのご年齢でレベルが01というのは稀というかありえないというか」
ありえない?
「普通は、成人するまでにレベルは10ぐらいにはなっているものでして」
「……ああ」
成人でレベル10になるのなら、こんなおっさんがレベル01って、なにしてたんだよって話だな。
と思ってたら、周りで聞き耳を立てていた他の冒険者たちが大爆笑した。
「レベル01⁉︎」
「どうやって生きてりゃそんなことがありえるんだよ!」
「ぶははははは!」
そんな感じ。
まぁ、そりゃあそうなるよねとは思う。
ううん。
でも、俺が自分で見るステータスには変化はないんだよな。
まぁいいか。
「とにかく、このレベルを上げていけばいいんですね?」
「はい。あ、クラスを決めましょう。一次戦闘職でしたら付与することができますので!」
というわけで、一次戦闘職とやらの説明を聞いて、戦士をもらった。
他でもらえるのは魔法使いとか治療士とか斥候とかだったので、まぁこんなものかなと。
そして初期装備ももらえた。
普通の長剣と丸盾。
「あの、生きて帰ってきてくださいね」
お城から事情を聞かされている受付のお姉さんの顔は真っ青だ。
そりゃあ、レベル01のおっさんを鍛えないと、いずれやってくる魔王に対抗できないとか聞いていたら、そんな顔にもなるかもしれない。
「おいおい、レベル01のおっさんが、いまさらなにをしようってんだよ」
「そうだよ。やめとけよな」
「ぎゃははははは!」
ううん、馬鹿にされまくり。
いや、いいんだけどね。
いいんだけど。
いいん……いや、やっぱよくないな。
冒険者は舐められちゃいけない。
冒険者ギルドの出口のところから体をぐるんと捻って、盾を投げる。
【盾聖】になってから覚えた【盾投げ】、そして【盾戻し】だ。
丸盾は笑っていた冒険者の使っていたテーブルを料理ごと真っ二つにして戻ってくる。
「よろしく〜レベル01の冒険者のおっさんでーす」
シンと鎮まったギルドの中で俺はそう挨拶をしてから外に出た。
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改めまして、★40000突破記念のSSです。
ここまでの皆様の応援、本当にありがとうございます。
他にも記念SSをやるタイミングはあったと思うのですが、なんだかんだといまになってしまいました。
書籍としての続刊はちょっと絶望的な感じですが、カクヨム上での人気はありますのでまだまだ続けていく予定です。
それではこれからもよろしくお願いします。
PS.ここをお読みになってまだ書籍を購入していない方、もしかしたら奇跡とか起こるかもしれませんので、どうかそちらの応援も、できたらよろしくお願いします。