十年以上前に書き上げ、そのまま眠らせていた作品です。
当時はまだWeb小説投稿が今ほど一般的ではなく、応募といえば原稿用紙を出版社へ郵送する時代でした。そこまでして応募しようという気持ちもなく、ずっと机の引き出しにしまったままになっていました。
今回あらためて読み返し、少しずつ推敲しながら公開しています。
描写を整えたり文章を磨いたりするだけではなく、作品そのものの考え方まで見え方が変わってきました。
異類婚姻譚というと、人間と人外の恋物語を思い浮かべる人が多いと思います。
でも、この作品で描きたかった「異類」は、そういう意味ではありません。
詩織自身は、自分を「異類」だとは思っていません。
長命種も、自分を「長命種」と名乗ることはありません。
民俗学を研究する涼真も、「異類という分類があります」と言い切る人ではありません。
「異類」という言葉は、人間が理解するために付けた呼び名にすぎない。
そう考えて書いた物語です。
推敲を重ねるうちに、「個性」という言葉も少し違うように感じるようになりました。大切なのは名前を付けることではなく、その存在をどう受け止めるか。そのことを今は以前より強く意識しています。
これからも手直しを続けながら、少しずつ公開していきます。
読んでいただけたら、とても嬉しいです。